研究課題
1. 膵β細胞特異的フォグリン遺伝子欠損マウス(PhbKO)において、電子顕微鏡観察による膵β細胞の形態解析結果を総括した。PhbKOでは、①加齢性にインスリン顆粒の減少を認め、②顆粒内に見られるホルモン結晶以外の構造物の出現頻度においては差がなかったが、低電子密度凝集顆粒が減少していた。③リソソームとリポコンドリアの加齢性増加を認めたが、遺伝子間での数的変化はなかった。④中性糖検出反応により、リソソームのサイズと密度の増加を認めた。以上の結果は、先行研究が報告している全身性フォグリン欠損マウスにおける極めて顕著な膵β細胞の形態異常とは大きく異なり、全身性か膵β細胞特異的かで欠損効果が異なるものとして注目される(発表準備中)。2. セクレトグラニン3(Sg3)は内分泌細胞におけるペプチドホルモンの選別輸送において、プロホルモン凝集体を分泌顆粒内へ輸送する機能を持つ分子であり、従来より、ウサギポリクローナル抗体が用いられてきたため、共発現分子の解析に制約があった。そこで、免疫組織化学的解析により有効なツールを得ることを目的として、新規マウスモノクローナル抗体を作成した。得られたクローンにおいて、野生型マウス組織で検出された陽性シグナルがSg3遺伝子欠損マウスの組織では陰性であることが確認でき、本モノクローナル抗体の有用性が期待できる。3. Sg3がペプチドホルモン産生細胞の他に、神経、副腎などにおいて活性アミン産生細胞で発現していることを明らかにしている。副腎において、アドレナリン生合成酵素であるフェニルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ(PNMT)との二重染色により、PNMT弱陽性細胞でのSg3が強い発現を認めたことから、ノルアドレナリン細胞での優位な発現が明らかとなった。一方、ソマトスタチンおよびVIPといったホルモン産生細胞との共発現は認められなかった。
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