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2017 年度 実施状況報告書

骨格筋細胞内における筋型変換のライブイメージングシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K08079
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

尾嶋 孝一  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (60415544)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードミオシン / 筋原線維 / 骨格筋
研究実績の概要

本研究では生きたマウスの筋線維/細胞内で異なるタイプ筋型をモニターする系を確立し,筋型決定・変換過程を筋細胞および筋原線維レベルで明らかにすることを目的とする。筋型をモニターするための遺伝子改変マウスの作出をメインに研究を進めた結果,ようやく安定的に実験に供するマウスの数が確保できるようになった。また,マウスの作出と並行して,筋型決定の主要な要因であるミオシン分子,およびミオシン分子のシャペロンである熱ショックタンパク質90(HSP90)に着目し,太いフィラメント内のミオシン分子置換効率がHSP90の活性により変化を受けるのか否かを検討した。HSP90を過剰発現させた培養骨格筋細胞では太いフィラメント内のミオシン分子置換が対照群と比較して迅速になること,HSP90の特異的な阻害剤を添加した培養骨格筋細胞ではミオシン分子の置換速度が低下することから,迅速な太いフィラメント内のミオシン分子置換にはHSP90のシャペロン活性が必要であることが明らかになった。さらに,HSP90を過剰発現した培養骨格筋細胞では細胞質内にプールされたミオシン分子の量が増えること,さらに転写レベルにおいてもミオシン分子を構成するミオシン重鎖の発現が上昇することが判明した。つまり,HSP90の活性が高まると骨格筋細胞内におけるミオシン分子の総量が増加し,その結果ミオシン分子の置換効率が上昇することが明らかになった。運動刺激を与えた骨格筋ではHSP90の上昇,ならびに筋原線維性タンパク質の発現レベルが上昇することが知られているため,培養骨格筋細胞におけるHSP90の過剰発現は生体における骨格筋への運動刺激を部分的に模していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験に供する遺伝子改変マウスが揃ったこと,およびミオシン分子の置換とHSP90の活性に関する論文が受理されたため。

今後の研究の推進方策

遺伝子改変マウスが安定的に得られるようになったのでマウス骨格筋組織を用いた実験をメインとしてミオシン分子置換メカニズムを探求する。

次年度使用額が生じた理由

試薬等の購入の際に安価な製品を選んだり,キャンペーン等を利用し節約に励んだため次年度使用額が生じた。本年度は次年度使用額を含めて,消耗品,および抗体等の購入に費用を充て,研究成果が得られるように有効活用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] HSP90 modulates the myosin replacement rate in myofibrils2018

    • 著者名/発表者名
      Ojima Koichi, Ichimura Emi, Suzuki Takahiro, Oe Mika, Muroya Susumu, Nishimura Takanori
    • 雑誌名

      Am J Physiol Cell Physiol

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1152/ajpcell.00245.2017

    • 査読あり
  • [学会発表] 骨格筋の量と質を制御する細胞分子メカニズムに関する研究2018

    • 著者名/発表者名
      尾嶋孝一
    • 学会等名
      日本畜産学会第124回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 骨格筋筋原線維内ミオシン分子の置換はHsp90により促進される2017

    • 著者名/発表者名
      尾嶋孝一, 市村恵美, 大江美香, 室谷進, 鈴木貴弘, 西邑隆徳
    • 学会等名
      日本畜産学会第123回大会
  • [学会発表] Myosin replacement in myofibrils is induced by Hsp90 activity2017

    • 著者名/発表者名
      K. Ojima, E. Ichimura, S. Muroya, M. Oe, T. Suzuki, T. Nishimura
    • 学会等名
      2017 ASCB EMBO meeting
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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