今後の研究の推進方策 |
dnmt3aa, dnmt3bb.2二重突然変異体におけるトランスジーンサイレンシングの変化の有無をGFP蛍光強度、およびde novoメチル化レベルに基づき解析する。トランスジーンサイレンシングの解除が見られない場合、残りの4つのde novoメチル化酵素遺伝子(dnmt3ab, dnmt3ba, dnmt3bb.1, dnmt3bb.3)に対するアンチセンスモルフォリノオリゴ(MO)の受精卵への注入や、それらde novoメチル化酵素遺伝子変異体のさらなる導入あるいは作製により、トランスジーンサイレンシングにおけるde novoメチル化酵素遺伝子を突き止める。またMOによる遺伝子機能抑制効果が十分でない場合でも、維持メチル化酵素遺伝子dnmt1の機能が低下していればMOの効果が上がる可能性がある。そこで上記の二重突然変異体にさらにdnmt1の機能低下型変異(hypomorph)をヘテロで加えた三重突然変異体の作製も行う。 トランスジーンサイレンシングに関与する、de novoメチル化酵素遺伝子とは別の因子として私は、ウイルスに対する宿主の防御蛋白質ZAPに注目している。ZAPはCpGリッチなmRNAに結合し、その分解に関与すると昨年報告された(Nature, 2017)。今回ゼブラフィッシュにおいてトランスジーンサイレンシングの対象となっている遺伝子はCpGリッチであり、その転写産物は同じくZAPのターゲットとなっている可能性がある。そこでこのZAPのゼブラフィッシュホモログ、PARP12, PARP12a, PARP12bのMOによる機能抑制を行う。
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