研究課題
前年度では、1細胞期のニホンウズラ卵にRNAをベースとしたCRISPR/Cas9システムの導入により、常染色体、Z性染色体およびW性染色体ゲノムのいずれにおいても、効率良く編集を行えることが明らかとなった。本年度では、本技術を応用して、ゲノム編集を行ったウズラ胚の表現系解析を中心に遺伝子機能の解析を推進した。胚発生の細胞周期をコントロールする遺伝子のフレームシフトによるタンパク機能阻害により、すべての胚発生が初期で停止することが確認できただけでなく、生殖細胞のマーカー遺伝子を破壊することにより、始原生殖細胞の増殖を抑制することも可能になった。さらにニワトリ卵にもCRISPR/Cas9システムの効果を検討した結果、ニホンウズラと同様な効果を得ることができた。これらにより、ニホンウズラおよびニワトリ1世代での逆遺伝学アプローチによる遺伝子機能解析を可能にできる手法が確立された。またある程度発生の進んだ初期胚へのCRISPR/Cas9 RNAの導入も検討し、チロシナーゼ遺伝子をターゲットにその効果を検討した。ドミナントブラックウズラ胚にRNA導入し、外胚葉、中胚葉、中胚葉由来の細胞のすべてにおいてチロシナーゼ遺伝子の編集が確認され、一部の胚において羽毛のメラニン沈着の欠損が確認された。一方で、DNAをベースとしたCRISPR/Cas9システムの導入を試み、RNAと同様な効果が得られたが、その効率においては、RNAの方が優っていた。これらにより、ニホンウズラの初期発生胚においても、CRISPR/Cas9 RNAをプラットホームにゲノム改変を誘発できる手法が確立された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Scientific Reports
巻: 8 ページ: 10012
10.1038/s41598-018-28368-z
Reproduction, Fertility and Development
巻: - ページ: -
10.1071/RD18266
https://www.sci.hokudai.ac.jp/bio/teacher/mizushima_shusei/