研究課題
1.Farinocystis sp.の感染の伝播は、オーシストを介した水平伝播と考えられている。これまでの結果をもとに、宿主消化管内におけるオーシスト脱嚢に関与する宿主因子の検討を行った。その結果、ヘキサンによる前処理を行ったオーシストのみ脱嚢が確認されたが、これには、宿主消化管抽出液中にあるプロテアーゼの関与が示唆された。一方で、プロテアーゼ阻害剤による脱嚢率の低下が認められたことから、宿主消化管抽出液中にはこれらのプロテアーゼ以外にも脱嚢を誘導する因子が含まれていると推察された。また、ザイモグラフィーにより基質特異性の異なる複数のプロテアーゼが確認され、セリンプロテアーゼあるいはシステインプロテアーゼであることが示唆された。2.Farinocystis sp.の野外での伝播性を検討するために、甲虫以外のさまざまなサツマイモ害虫に対する本原虫の感染性を調査した。アブラムシ類、ヨトウ類、ハエ類などを供試して接種試験を行ったところ、いずれの昆虫にも感染力を示さなかったが、体表を汚染したオーシストを介しての伝播の可能性は否定できなかった。3.パルスNMR法により、Farinocystis sp.に感染したイモゾウムシの生体内代謝の変化を調査した。その結果、感染個体において、中腸での1H核緩和時間の増大が認められた。また、特定のシグナル強度が感染個体と非感染個体で明瞭に異なり、外見上、健全個体との相違が認められない感染個体において、代謝の変化を確認することが可能であった。
すべて 2018
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Journal of the Faculty of Agriculture, Kyushu University
巻: 63 ページ: 271-279
巻: 63 ページ: 281-292
巻: 63 ページ: 293-302