研究課題/領域番号 |
16K08105
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
村上 理都子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (10414947)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | トビイロウンカ / Rice ragged stunt virus / トランスクリプトーム解析 |
研究実績の概要 |
イネに病原性を示すRice ragged stunt virus (RRSV)と本ウイルスの媒介虫であるトビイロウンカ(Nilaparvata lugens)をモデルとして、媒介虫の体内で増殖する植物病原ウイルスと相互作用する媒介虫体内の因子を探索するために、RRSVを保毒したトビイロウンカと無保毒のウンカの比較トランスクリプトーム解析を行い、差異の見られた因子を候補遺伝子としてウンカ体内におけるRRSVの増殖量と相関のあるタンパク質を調べた。その結果、DEAD-box RNA ヘリカーゼファミリータンパク質類、チオエステル含有タンパク質類、Dicer2等のタンパク質の発現量でRRSVの増殖量と相関がみられた。 これらタンパク質の中でDEAD box helicase 60 protein (DEAD60)、Thioester containing protein 2 (TEP2)の発現量がRRSVの増殖量と高い相関が見られたことから、これら2遺伝子のトビイロウンカ遺伝子の配列を解析してそれぞれの機能部位を、これらの部位と相互作用するRRSV由来タンパク質を解析するために行うYeast-two-hybrid(Y2H)法で用いるBaitベクターにクローニングした。さらにRRSVが有するタンパク質についてもY2HのPreyベクターにクローニングした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DEAD60とTEP2の塩基配列が解読でき、得られた配列を基にそれぞれの遺伝子の活性部位を調べた結果、それぞれの活性部位の大きさは210-1,899 bp.であったことから、Y2H法において各核酸配列がコードするタンパク質の発現は可能と推察され、これらの配列をY2HのBaitベクターにクローニングした。 一方、RRSVがコードするタンパク質の大きさは894-3,714 bp.であり、サイズが大きくY2Hでのタンパク質発現が困難と考えられたものについては、立体構造を形成しない部分で分割して600-1,200 bp.の断片としてPreyベクターへのクローニングを試みた。その結果、RRSV由来タンパク質の中で4か所にクローニングができない部位があったが、大部分は導入できたことから、それぞれのタンパク質の相互作用を調べる準備はほぼ整った
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今後の研究の推進方策 |
DEAD60とTEP2の活性部位と相互作用するRRSV由来タンパク質の部位をY2H法で調べる。Y2H用のベクターにクローニングできなかったRRSVの4か所の遺伝子についてはプルダウンアッセイ用のベクターにクローニングし直し、プルダウンアッセイ法で相互作用を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度にタンパク質の相互作用を調べることになり、高額なキット類の購入分が次年度に持ち越されることとなった。
RNA合成、タンパク質合成等のキット類を購入する予定。さらに生物の維持や研究の遂行に必要な補助員の賃金に使用する。
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