Rice ragged stunt virus (RRSV)はイネに病原性を示す。すなわちRRSVに感染したイネは葉がねじれ、萎縮することからRRSVに感染したイネではコメの生産量が低下する。罹病したイネが枯死するまでの間、トビイロウンカは罹病イネを吸汁することでRRSVを保毒し、体内でRRSVを増殖して健全イネを吸汁することで増殖したRRSVを健全なイネの篩管中に放出することによりRRSVを媒介する。これまでにRRSVを高度に保毒した区、低度に保毒した区、無保毒の区のウンカを対象に比較トランスクリプトーム解析を行い、DEAD box helicaseドメインを有しているタンパク質(DDX60)及び、チオエステル含有タンパク質(TEP2)をコードしている遺伝子の発現量がRRSVの保毒量と比例することを明らかにした。今年度は、これらのタンパク質のドメイン配列と相互作用するRRSV由来タンパク質をYeast-two-hybrid (Y2H)法により探索した。RRSVは10本のセグメントを有し、それぞれのセグメントは1.1-3.9 kbpあり、26-141 kDaのタンパク質をコードしている。40 kDa以上のタンパク質の解析はY2H法では困難と考えられたことから、分子量が大きなタンパク質については立体構造に影響しないと考えられる部位で40 kDa未満の分子量になるよう設計してY2H用のベクターであるpGADT7に分割して組み込んだ。一方、トビイロウンカ側の遺伝子DDX60、TEP2のドメイン配列と推定される配列をもう片方のY2H用のベクターであるpGBKT7に組み込み、それぞれのRRSV由来のタンパク質との相互作用を調べた。その結果、DDX60とRRSVのセグメント1、2、6の部分配列、TEP2とRRSVのセグメント1、2、4、5、6が相互作用する可能性が示唆された。
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