研究課題
本研究は、難培養性とされる菌根性きのこ(担子菌類および子嚢菌類)の培養法として胞子発芽誘導法を開発し、培養法を改良して多様なきのこ培養株を樹立し、さらに、菌株の凍結保存法を開発することによって、新たな生物資源を開発することを目的として実施した。2018年度の研究実績の概要は以下の通り。1.菌根性担子菌類の子実体(きのこ)を野外から収集し、その子実体から得られた担子胞子を分離源とし、これまでの研究実績に基づき、MNC培地、ゲランガムMNC培地、n-酪酸添加MNC培地、YMG培地を分離用培地として適宜用いて胞子分離を行い、Amanita属17種21株,Entoloma属1種1株,Hydnellum属3種4株,Hydnum属9種37株,Laccaria属3種3株,Sarcodon属2種2株,Tricholoma属4種4株の合計72株の培養株の樹立に成功した。2.2018年度の分離株に加え、2016~2017年度の分離株を用いて、菌糸成長に好適な培地を検討したところ、菌根性きのこ類の属や節レベルの分類群ごとに、好適な培地が明らかになってきた。汎用性の高い培地としてMNC培地があげられるが、一部の菌では、2%MA培地やYG培地、1/4YMG培地が適していることが明らかになった。3.菌株の凍結保存は、菌糸成長に好適な液体培地をバーミキュライトに染み込ませたものを培養基材として菌糸を培養した後に、凍結保護剤(5% DMSO+10% Trehalose)を用いて、プログラムフリージング(-1℃/min)して、液体窒素気相タンクで保存した。培養株が得られ、TUFC菌株として登録した266株のうち197株の凍結保存が完了した。残りの69株のうち6株は死滅したために廃棄した。他の63株は現在、凍結保存の完了を目指して、凍結前の前培養での培地の検討や培養法の改良、復元方法の改良を行っている。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Mycologia
巻: 111 ページ: 161-176
10.1080/00275514.2018.1520035
Mycoscience
巻: 60 ページ: -
10.1016/j.myc.2019.02.007
10.1016/j.myc.2019.02.011