研究課題/領域番号 |
16K08114
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 貴文 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (10402827)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | chitinase / Paenibacillus / structural biology / chitin oligosaccharides |
研究実績の概要 |
本研究では、生物資源である多糖キチンの有効利用を目指し、「細菌P. FPU-7による難分解性キチン分解機構の解明とその応用」を行っている。本年度は、主に「キチン分解とChiWの細胞表層提示に関わるP. FPU-7タンパク質の解析」を行った。 (1) 「P. FPU-7培養液に含まれるタンパク質の網羅的解析」 P. FPU-7培養液中に含まれるタンパク質を電気泳動、質量分析装置、P. FPU-7のドラフトゲノムおよびアミノ酸配列データベースを用いて、網羅的に解析した。本方法にて、100種類以上のタンパク質が同定された。また、P. FPU-7のキチン分解には、これまで見出されていたキチナーゼ以外にも5種類のGH18キチナーゼ、1種類のGH19キチナーゼ、4種類の多糖分解オキシゲナーゼも関与していた。これらほとんどの酵素は、キチンが培地に存在していなくても発現していた。細胞表層発現型キチナーゼChiWはキチンによって発現が誘導されていた。 (2) 「キチンオリゴ糖結合タンパク質とキチンオリゴ糖加水分解酵素の機能解析」 キチン添加時に発現していたタンパク質群の中にキチナーゼChiWの発現制御に関わるキチンオリゴ糖結合タンパク質候補を見出した。その組換えタンパク質を大腸菌発現系により調製した。そして、示差走査蛍光測定法により、キチンオリゴ糖の結合能を確認し、このタンパク質をキチンオリゴ糖結合タンパク質と同定した。さらに、近傍の遺伝子から、キチンオリゴ糖加水分解酵素候補を見出した。 (3) 「新規タンパク質の機能解析」 2つのキチナーゼと遺伝子上で並ぶ機能未知遺伝子を検出し、多糖分解に関与するタンパク質候補として見出した。そして、その組換えタンパク質を大腸菌発現系により調製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、「キチン分解とChiWの細胞表層提示に関わるP. FPU-7タンパク質の解析」を進め、下記の成果を得た。おおむね当初の研究計画のとおりである。 (1) 「P. FPU-7培養液に含まれるタンパク質の網羅的解析」 P. FPU-7培養液に含まれるタンパク質の網羅的解析によって、P. FPU-7のキチン分解には、これまで見出されていたキチナーゼ以外にも5種類のGH18キチナーゼ、1種類のGH19キチナーゼ、4種類の多糖分解オキシゲナーゼも関与していることを明らかにした。 (2) 「キチンオリゴ糖結合タンパク質とキチンオリゴ糖加水分解酵素の機能解析」 キチン添加時に発現していたタンパク質群の中にキチナーゼChiWの細胞表層発現に関わるキチンオリゴ糖結合タンパク質候補を見出した。そして、そのキチンオリゴ糖結合能を確認した。さらに、近傍の遺伝子から、シグナル伝達の下流に位置するキチンオリゴ糖加水分解酵素候補を見出し、現在、本タンパク質の機能解析を行っている。 (3) 新規タンパク質の機能解析 2つのキチナーゼと遺伝子上で並ぶ機能未知遺伝子が検出された。現在、その組換えタンパク質を調製し、機能解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
「ChiW細胞表層提示ドメイン融合タンパク質の解析」と「ChiWの細胞表層提示に関わるタンパク質の機能解析」に関して、交付申請書の通り、研究を進めていく。 (1) ChiW細胞表層提示ドメイン融合タンパク質の解析 ChiWの細胞表層提示ドメインと他のタンパク質や酵素 (緑色蛍光タンパク質や細菌分泌型アミラーゼ)を連結したタンパク質発現ベクターを作製する。そのベクターでP. FPU-7を形質転換後、活性や蛍光顕微鏡にてタンパク質の発現の確認を行い、P. FPU-7細胞表層提示法の汎用性を評価する。 (2) 細胞表層ChiW提示に関わるP. FPU-7タンパク質の機能解析 P. FPU-7が発現するタンパク質の網羅的解析から、キチンオリゴ糖によるシグナル伝達に関与するタンパク質候補を見出した。本年度は、これらタンパク質の機能解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度をまたいで実験、論文投稿準備を行っており、そのための予算を基金として確保するため、差額が生じた。差額は、実験材料費、論文掲載料および論文投稿費用などに利用する。
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