研究実績の概要 |
石油や石炭、天然ガスといった化石エネルギー資源の消費量削減は今や世界的な課題となっている。この消費量削減に役立つと期待されているのが、植物性バイオマスを原料にしたエタノール生産などのエネルギー変換技術である。しかし、トウモロコシなどに含まれるデンプンと異なり、草本・木本性バイオマスに多く含まれるセルロースやヘミセルロースなどは粉砕などの物理的処理に加え、酸やアルカリなどによる前処理なしでは糖化効率が低く、非食用植物のバイオマスを利用したエタノール生産には糖化工程の高効率化が重要とされている。 そこで本研究では、葉食いザル(アカアシドゥクラングール, Red-shanked Douc Langur)のもつ微生物群集構造を解析することで、新たな木質系バイオマス分解微生物の取得と応用、さらには絶滅危惧種である同サルの健康管理に有益な知見を得ることを目指している。 アカアシドゥクラングールのもつ微生物群集構造を解析することで、新たな木質系バイオマス分解微生物の取得と応用、さらには絶滅危惧種である同サルの健康管理に有益な知見を得ることを目指し、以下に示す研究課題に取り組んだ。まず、アカアシドゥクラングールが最も活発に葉を摂食する5-7月に採取する試料を主な単離源として用い、サクラやヤナギ、トウネズミモチなどサルの好む葉を培地に用いて微生物の単離を行った。同時に、アカアシドゥクラングール糞便中に存在する菌相を解析するために、DNA抽出・PCRなどを行った。
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