昨年度までに、理想的な生物学的封じ込め技術として、自然界には存在しない非天然アミノ酸を栄養として与えないと生きられない大腸菌を作出し、さらに導入する遺伝回路の改良によりエスケーパー(非天然アミノ酸を与えなくても生き延びる菌個体)の発生率を10億分の1以下に抑制することに成功した。本年度は、封じ込め技術を完璧にするため、大容量・長期培養で分離した稀なエスケーパーの発生機構を明らかにするため、その全ゲノム解析を行った。分離したエスケーパーは、いずれもゲノム中の冗長なtRNA遺伝子の点突然変異が原因と特定された。そのような変異tRNAの発生を防止すれば、エスケーパーの発生をさらに抑制できることが示唆された。それに対して、プラスミド上にある非天然アミノ酸依存性を付与する遺伝回路には変異は見つからなかった。
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