マルタニシは所謂「田んぼのタニシ」として広く知られる在来の巻貝類である。日本各地で減少傾向にあり、その保全が期待される。巻貝類は水界生態系における物質循環機能において重要な役割を担う。人為的に管理された水界生態系である水田において、本種も同様に機能すると考えられるが、その実際の効果は殆ど知られてこなかった。本研究では、本種が水稲や他の水田生物に好適な影響を及ぼすことを明らかにした。水田のマスコットや指標生物としての側面ではなく、実際の農業や生物多様性保全に役立つ可能性を明らかにしたことは、今後の本種の保護保全や、各地で推進される持続可能な農業を検討する上で重要である。
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