本年度は,研究の最終年度にあたり,これまでの研究成果の精緻化等を実施した。 第一に,今後,生産緑地の指定解除の進行等による影響が予想される都市農地について,都市防災の視点からみた保全・再生の可能性を探るため,東京都における防災協力農地制度の運営実態と課題を,2018年度までの調査結果を踏まえて考察した。その結果をとりまとめ,環境情報科学センターの英文誌「Journal of Environmental Information Science」に投稿した(査読中)。 第二に,研究対象都市である松戸市の中から,農村集落,スプロール住宅地,1960~70年代に整備された計画住宅地,2000年代以降に区画整理事業により整備された計画住宅地等が混在する紙敷地区を対象に,GIS(地理情報システム)を用いて,空き地・未利用地,宅地化農地・耕作放棄地,管理放棄樹林地等を含む土地利用の推移を把握した。その結果を,日本造園学会の「2019年度日本造園学会全国大会(筑波大学)」のポスターセッションにて発表した。 第三に,研究対象地の松戸市において,設置要綱に基づいて確保されている「こどもの遊び場」を対象に,その制度的な枠組み,配置や面積,施設・設備等の整備,管理運営の実態を明らかにするとともに,住区基幹公園との関係性を検討した。その結果を,日本造園学会の「ランドスケープ研究(オンライン論文集)」に投稿した(査読中)。 最後に,本研究の成果全体をとりまとめ,市街地縁辺部における管理放棄地のパブリックオープンスペースとしての再生手法を考察した。
|