研究課題/領域番号 |
16K08128
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
南山 泰宏 京都教育大学, 教育学部, 教授 (00463266)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | トキソウ / SSRマーカー / 無菌播種 / 遺伝的多様性 |
研究実績の概要 |
(2)トキソウのSSRマーカーの開発 地黄湿地に自生するトキソウのゲノムDNA を抽出し,制限酵素AluⅠ、HaeⅢおよびRsaⅠで消化したDNA断片を用いて,CAとGAの反復配列を持つSSR 濃縮ライブラリーを作成した.CAは242個,GAは202個のクローンについて塩基配列を解析した結果,5反復以上のSSRが含まれていた数は,CAで43個(18%),GAで76個(38%)であり,SSR含有率はGAが2倍以上であった.119個のSSRクローンのうち,81組のプライマーセットを設計したところ,66のSSRマーカーを開発することができた.シーケンサーを用いたフラグメント解析により,由来の異なるトキソウのSSRマーカーの多型を調査した結果,35マーカーでDNA多型を確認し,対立遺伝子数は2~11,遺伝子多様度は0.18~0.90であった.また,66マーカーのうち56マーカーは,同属別種のヤマトキソウでも利用可能であることがわかった.以上の結果から,これらのSSRマーカーはトキソウの遺伝的多様性の評価に利用可能であることが明らかとなった. (3)自生地個体群の無菌播種による系統保存 大阪みどりのトラスト協会による湿地の保全活動により,地黄湿地に自生するトキソウは調査を開始してから個体数が増加してきており,当初計画していた無菌播種による全株保存は個体数過多のため不可能な状況であることから,2~3m程度の間隔で開花している株について人工交配を行い,得られたさく果を用いて無菌播種を行った.昨年度の結果を踏まえて,授粉後約60日目の未熟種子を4週間の低温処理後に無菌播種することで,採取した18個の全さく果からプロトコームを得ることができた.これらの個体は継代培養し順化を行って系統保存中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トキソウ由来のSSRマーカーを多数開発し,由来の異なるトキソウの系統間で多型を示す35マーカーを得た.これらのSSRマーカーにより自生地内のトキソウの多様性の解析が可能であると考えられるため,本年度でトキソウのSSRマーカーの開発は終了する. 地黄湿地に自生するトキソウの系統維持を目的とした無菌播種において,授粉後約60日目の未熟種子を4週間低温処理する方法を用いることで,全てのさく果から発芽個体を得ることができたことから,再現性の高い無菌播種法であることが明らかとなった.
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今後の研究の推進方策 |
地黄湿地に自生する約80個体のトキソウから採取した葉からDNAを抽出し,集団内の遺伝的多様性を評価する.本年度に無菌播種により系統保存している個体とは異なるジェネットについては,引き続き人工交配を行い,無菌播種により系統保存を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝的多様性の評価に関する研究が予定より進まなかったため,フラグメント解析にかかる分析費用が残額となった.次年度使用額は持ち越したフラグメント解析にかかる分析費用として使用する.
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