研究課題/領域番号 |
16K08132
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
小林 昭裕 専修大学, 経済学部, 教授 (60170304)
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研究分担者 |
JONES THOMAS 明治大学, ガバナンス研究科, 特任准教授 (50611745)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リスクコミュニケーション / 山岳遭難 / 事故原因 / 情報提供 / 合意形成 / 北アルプス |
研究実績の概要 |
本研究は,利用者や警察をはじめとした遭難対策組織,行政機関を含めた関係者間のリスク・コミュニケーションの視点から,山岳遭難実態や事故軽減策に対するコンセンサスの形成および諸施策の効果の検証と情報の共有化を通じて,山岳事故軽減策の改善を図ることを目的とする。初年度は長野県から得た山岳遭難実態の分析だけでは,地域ごとの特性を比較検証できないことから,岐阜県,富山県,山梨県,静岡県,新潟県の協力を得て,各県警察で整理した山岳遭難データの入力と解析を行い、解析結果を,それぞれの県警の山岳遭難対策担当セクションに,分析結果をフィードバックした。欧州やアメリカ,カナダ,ニュージーランド等での,山岳登山利用者に対しリスク管理における関係者間のリスク・コミュニケーションのシステムについて,WEB を通じて,情報の整理を行った。 学術研究論文として、「長野県警察の山岳遭難記録に基づく,山岳遭難事故急増の背景と軽減方策に関する研究」環境情報科学論文集、30、79-84、学会発表として「Investigating the Incident Profile of Vulnerable Climber Segments: Older Climbers in the North Japan Alps」をMMVにて口頭発表を行った。これらの作業を通じて、リスクコミュニケーションにおける情報対象となる遭難実態の把握と、実際の遭難現場を担当している関係者との認識上の差異を確認するとともに、遭難事故軽減に向けた情報提供のシステムについて議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度当初予定であった、山岳遭難対策協議会や,環境省,林野庁,山小屋管理組合,さらには山岳情報を提供している主体≪出版社やHP 提供者,山岳用具販売店等≫と情報交換を行い,利用者の安全対策,利用者サービスに係る関係者で山域毎の山岳遭難の特性について,情報交換を通じて,理解と対策の改善策を検討する点について、まだ実施に至っていない。その理由は、リスクコミュニケーションに関する国内外の文献の整理が遅れ、調査実施のスキームができあがっていないためである。そのため、現在は、この点の遅れを回復し、当初の調査予定を実施すべく対応を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の未達成内容を含めて、当初の予定通り、①複数の山岳地域(槍・穂高,白馬,剣岳,八が岳,甲斐駒ヶ岳,妙高山,奥多摩)を対象に,登山者に対するアンケートによる郵送調査法を用い,H25 年で確認された,山域毎の遭難特性及び対応策に対する意見聴取を行う。目標とする有効回収数は3000 件であり,既往研究調査の回収率がおよそ3 割程度であることから,10000 名近くの登山者に調査を依頼することになる。そのため,郵送調査法により行う調査にあたっては研究代表者だけでは対応が困難なことから,調査補助員を各公園で1名の協力を得て行う。 ②アンケート内容のデータ入力分析結果を,あらかじめ登山者にお知らせしたHP や関係機関,情報提供主体に提供し,WEB 上から意見収集を行う
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度当初予定であった、山岳遭難対策協議会や,環境省,林野庁,山小屋管理組合,さらには山岳情報を提供している主体≪出版社やHP 提供者,山岳用具販売店等≫と情報交換を行い,利用者の安全対策,利用者サービスに係る関係者で山域毎の山岳遭難の特性について,情報交換を通じて,理解と対策の改善策を検討する点について、まだ実施に至っていない。その理由は、リスクコミュニケーションに関する国内外の文献の整理が遅れ、調査実施のスキームを仕上げる作業にいたっていないため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度予定の作業、具体的には、山岳情報を提供している主体≪出版社やHP 提供者,山岳用具販売店等≫と情報交換を行い,利用者の安全対策,利用者サービスに係る関係者で山域毎の山岳遭難の特性について,情報交換を通じて,理解と対策の改善策のための基本的スキームとなる仮説を構築し、それに基づいて本年度に想定されている検討を行う予定であある。
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