研究課題/領域番号 |
16K08136
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
岩崎 亘典 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, ユニット長 (70354016)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 土地利用図 / 旧版地形図 / 深層学習 / 地図タイル |
研究実績の概要 |
H29年度までに作成した敵対的生成ネットワーク(GAN)による人工知能を用いて,1/5万旧版地形図・龍ケ崎を例として,深層学習による土地利用図の作成を試みた。GANを用いて学習させる際には,正解となる教師画像と,分類対象画像が必要となるが,教師画像として手作業で入力した土地利用図を,部類対象画像として旧版地形図を地図タイルとして整備し,利用した。その結果,地図上に描画されている地形図の凡例が密な場合は正しく分類されるが,疎な場合は誤分類が生じやすいことが確認された。また,学習を行う順番によって,地図記号を十分に学習できる場合と,学習できない場合があることが確認された。今後,高精度の分類を行うためには,学習の順序や使用する画像のズームレベルなどの,ハイパーパラメータと呼ばれる学習のための条件を検討する必要があることが確認された。これらの成果は,2018年12月にスリランカ共和国モラツワ大学で開催されたFOSS4G ASIA 2018において報告した。 またこれまで,分類用の画像については旧版地形図を独自に幾何補正し,利用することとしていた。しかし一昨年度から立命館大学が公開している日本版Map Warperにおいて,米国スタンフォード大学が所有してる旧版地形図が地図タイルとして提供開始された。そこで,独自に整備した旧版地形図に加え,これらのデータを分類用画像として利用できることをと確認した。 また学習用データについては,これまではベクトル形式のGISデータをラスタ画像変換してから使用していた。今後,より高度な分類が可能となるよう,ベクトル形式でデータを発信するベクトルタイルの生成も試み,試験的に農林水産省が公開している筆ポリゴンについて,ベクトルタイルへの変換を行った。本データについては平成30年4月にライセンスが変更になりオープンデータとなったことから,試験的に公開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
深層学習を用いた土地利用図の作成方法については,予定通り順調に開発が進んでいる。また,外部機関による旧版地形図の地図タイルとしての公開も始まったことから,今後の研究のさらなる推進が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに作成済みのプルグラムを改良し,主題図としての分類が可能とする。また,学習の際のハイパーパラメータを検討し,より高精度での分類を行い,深層学習を用いた明治末から大正時代にかけての関東地地方の土地利用データの整備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
外部機関による地図データの公開が進んだため,予定していた地図購入が必要なくなった。2019年度にいては,研究推進の効率化のための機器購入等に利用する予定である。
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