昨年度までに作成した敵対的生成ネットワーク(GAN)による人工知能を用いた土地利用図作成プログラムは、Python2.7 環境で動作するものであったが、Python2.7 のサポートが完了した。そこで、今後も作成したプログラムを使用可能とするために、Python3.7 環境への移植作業を行った。また、関東地方における土地利用図を作成するために、立命館大学が公開している日本版Map Warperを利用して、関東平野旧版地形図の合成データを作成した。 以上のプログラムとデータセットを用いて、関東地方の旧版地形図に基づく土地利用図を作成した。生成した土地利用図は、針葉樹林、水田等、土地利用図の凡例が密に描画されている場合は高い分類精度を示したが、広葉樹林や草地・荒地等の凡例が疎な場合は、十分な精度が得られなかった。 以上のように、研究目的としたWebリソースを活用した土地利用データベース構築に関する手法の開発は、一定の成果を上げることができた。しかし、作成された土地利用図の精度については、まだ十分ではない。これは昨年度明らかになったとおり、学習を行う順番によって,地図記号を十分に学習できる場合と,学習できない場合があることが原因だと考えられる。また、学習用データが平野部に限られていたため、特に山間部での分類精度が低かった。今年度、高精度の分類を行うために学習回数、ズームレベル等の変更を試みたが、十分な精度を得ることができなかった。今後、ハイパーパラメータの最適化を自動的に可能とするプログラム等を開発すると共に、高精度の識別を可能とするような学習用データセットを構築することで、高精度の土地利用図の作成が期待される。
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