研究担当者が採取したクサネムを同定するため、リボソームDNAのITS/5.8S領域と葉緑体DNAのtrnLイントロン領域の配列を決定し、予想通りAeschynomene indicaであることを確認した。 前年度に単離されたSET10系統を接種して形成されたクサネム根粒からRalstonia sp. SET104系統を再単離し、そのゲノム解析を行なった。しかし窒素固定に関与する遺伝子は見あたらず、SET104は根粒内で窒素固定活性を有する細菌と共存していたと思われた。ただし、SET104はRalstonia属の新規な種であると示唆された。 これまで以上に慎重に作業を進めたところ、104Bと105Bと名付けた2系統のBradyrhizobium属細菌を単離し、いずれもクサネムに窒素固定根粒を形成する能力があることを確かめた。さらに、これらの系統をpBjGroEL4::dsREDもしくはpBjGroEL4::sGFPを有するTn5ミニトランスポゾンを用いて傾向標識することにも成功した。 レグヘモグロビンプロモーターの下流にレグヘモグロビンcDNAや構成的CCaMK遺伝子をつないだコンストラクトを、Gateway法を用いてpENTRを経由し、イネにおける発現ベクターであるpGWB204に移しかえた。次いでこれらの発現ベクターをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入することにも成功し、当初の予定通り形質転換イネを作成する準備がようやく整った。
|