研究課題/領域番号 |
16K08148
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
竹之内 敬人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門 動物機能利用研究領域, 主席研究員 (20292518)
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研究分担者 |
月本 光俊 東京理科大学, 薬学部薬学科, 准教授 (70434040)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自然免疫応答 / 神経調節因子 / マクロファージ / 非典型的分泌機構 |
研究実績の概要 |
本研究では、神経調節因子である中脳アストロサイト由来神経栄養因子(MANF)とジアゼパム結合阻害因子(DBI)について、マクロファージ系細胞における産生・分泌機構及び生理作用を解析し、自然免疫系における役割を明らかにすることを目的とする。 ATP刺激によってマクロファージ系細胞から分泌されるMANFに関して、複数の分子種が存在する可能性が示唆されたため、内因性MANFのタンパク質修飾(糖鎖付加及びユビキチン化)について検討した。N結合型及びO結合型糖鎖を切断する酵素あるいはユビキチン抗体を用いた解析を行ったが、MANF分子にこれらのタンパク質修飾を確認することはできなかった。また、MANF抗体を用いたウエスタンブロット(WB)法で検出される複数のバンドパターンの再現性も低いことが明らかとなった。つまり、WB法では非特異的なバンドの検出を含む可能性が示唆されたため、既に得られている実験データについても見直す必要があることがわかった。 さらに、ブレビバチルス菌によるタンパク質の分泌生産法(BIC法)を用いたMANFとDBIの組換えタンパク質の作製についても検討を進めた。MANFに関しては、精製後の組換えタンパク質に不純物(着色)が残るという問題があったため、精製法と産生菌の培養条件を再検討した。その結果、菌の培養液をTMNm培地から2SYNm培地に変更することによって、精製後のサンプルに着色も少なく、純度良く比較的大量にMANFの組換えタンパク質を回収できる条件を見出した。DBIに関しても、組換えタンパク質を分泌生産するブレビバチルス菌の発現クローンの作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、BIC法による組換えタンパク質の分泌生産に関して、組換えMANFタンパク質の生産法をほぼ確立するとともに、組換えDBIタンパク質の生産菌を得ることができた。一方で、WB法による内因性MANFの検出法について問題点を見出した。既に得られているWB法の実験データの見直しが必要ではあるが、全体としてはおおむね計画通りに研究が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、WB法による内因性MANFの検出については、基本的にMANFの分子量(約18kDa)に相当するバンドのみを解析対象とする。また、組換えMANFタンパク質の生理活性について、培養細胞を用いた検討を進める。DBIに関しては、マクロファージ系細胞からの分泌機構の検討を進めるとともに、組換えDBIタンパク質の生産法を確立する。さらに、疾患モデルマウスのサンプルを用いた検討も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
組換えタンパク質からエンドトキシンを除去するキット(約10万円)を購入依頼したが、本年1月30日に所内担当部署より、本製品は製造中ではあるが納期未定との連絡があり、本年度中に使用できない可能性があったので、実験計画を見直し、購入手続きを一度キャンセルとした。次年度に改めて購入を依頼する。
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