研究課題/領域番号 |
16K08151
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
浦井 誠 国立感染症研究所, 真菌部, 主任研究官 (20398853)
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研究分担者 |
相澤 朋子 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (60398849)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 異種微生物間相互作用 / 細胞外マトリクス産生誘導 / 抗菌物質生産 / 構造解析 / 分子機構解析 |
研究実績の概要 |
平成28年度は以下の研究成果を得た。(1)これまでに我々がヒト表皮から単離していた、異種細菌に対する細胞外マトリクス産生誘導や、抗菌物質生産などの異種細菌間相互作用を示す細菌2種について、16SrDNA塩基配列を決定し、種の同定を行った。(2)異種細菌に対して細胞外マトリクス産生を誘導する細菌の培養物から、活性物質の精製を試みた結果、活性画分を分画することができたため、さらに細胞外マトリクス産生誘導活性を指標に精製を進めている。(3)異種細菌の共培養により生産が誘導された細胞外マトリクスの成分や構造に関して検討を進めており、共培養条件や、抽出、精製手法を最適化して、構造解析に供することができる量と精製度の細胞外マトリクスを取得できた。得られた精製細胞外マトリクスについて、GC/MSによる構成成分分析や500MHz核磁気共鳴装置などによる構造解析を進めた結果、これまでに報告のない多糖構造である可能性が示唆された。(4)これまでに単離してきたヒト表皮由来微生物と、ヒトに対して日和見感染症を引き起こすことが知られている代表的な病原性細菌、および、真菌との異種微生物間相互作用についても検討を進めており、新たな相互作用の組み合わせを見出した。(5)異種細菌間相互作用を示す細菌同士の共培養時におけるタンパク質発現を単独培養時と比較するため、最適な共培養条件を検討し、高分解能LC/MS/MSシステムによるプロテオーム解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究者の異動が予定されたため、当初に計画していた研究タイムスケジュールに若干の変更が生じたが、各小課題に着手する時期が若干前後しただけで、全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下の内容を計画している。(1)異種細菌に対して細胞外マトリクス産生を誘導する細菌の活性物質を精製し、構造解析を試みる。(2)異種細菌の共培養により生産が誘導された細胞外マトリクスの構造解析を進め、その生理活性についても検討する。(3)これまでに単離してきたヒト表皮由来微生物と、ヒトに対して日和見感染症を引き起こす代表的な病原性菌との共培養で認められた新たな相互作用に関与する分子を明らかにする。(4)異種細菌間相互作用を示す細菌同士の共培養物に対するプロテオーム解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者の異動が予定されたため、少額の物品費で実施できる小研究課題を優先的に実施したことから、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究者が新設研究室へ異動したため、当初計画していた研究課題を実施するために必要な物品の購入に重点的に使用する。
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