研究課題/領域番号 |
16K08155
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小暮 紀行 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (80396689)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アルカロイド / インドール / アクアミリン |
研究実績の概要 |
アクアミリン型インドールアルカロイドの全合成研究 アクアミリン型インドールアルカロイドは、メタノキノリジジンと称される6員環が3つ縮環したかご状骨格を有することが特徴であり、その骨格の構築が困難であることから、近年注目を集めている。 分子内にシリルエノールエーテルとアルキンを有する金触媒環化反応基質を調製し、メタノキノリジジン骨格の構築を検討した。金触媒、溶媒等の条件を種々検討したが、目的のメタノキノリジジン骨格は構築できなかった。メタノキノリジジン骨格では、C環がエネルギー的に不利なボート型配座となる必要があるため、本反応が進行しないと考察した。そこで先にインドレニン環を構築した金触媒環化反応基質に変更し、Zhuらの全合成における中間体へ導いた。これにより、ストリクタミンの形式全合成を達成した。 続いて、全合成の収率を改善すべく、シリルエノールエーテルをα、β-不飽和エステルに、アルキンをヨードアルケンに変更し、分子内ラジカル反応または1,4-付加によるメタノキノリジジン骨格の構築を検討した。ラジカル開始剤を含め、反応条件および基質を種々検討したが、目的の環化体は得られなかった。 そこで、生合成経路を模擬した合成ルートに変更することとした。トリプタミンを出発物質とし、Bischler-Napieralski反応によりジヒドロ-β-カルボリンへ導いた。3位へアリル基を立体選択的に導入した後、窒素に側鎖を導入した。現在、生合成経路を模擬したアクアミリン型アルカロイドの全合成における、鍵段階の反応基質へと変換中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成計画通りに研究を進め、アクアミリン型アルカロイド ストリクタミンの形式全合成を達成することができた。現在は、収率および合成ルートの改良を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
アクアミリン型アルカロイドの形式全合成を達成したが、より効率の良い合成法の確立を目指し、生合成経路を模擬した合成ルートを検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、購入予定していたパーソナル有機合成装置(ゾディアック)の購入を見合わせ、当研究室で所有している装置で対応したため。
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次年度使用額の使用計画 |
アクアミリン型アルカロイドのより効率的な合成法の確立、新たなインドールアルカロイドの全合成に向け、大量に試薬・溶媒類が必要となる。
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