研究課題
基盤研究(C)
強力な殺細胞活性を示すサポニンとして知られるシラシロシドE-1の初めての全合成に向け、A環部の合成を行った。基質に環状炭酸エステル構造を組み込むことにより、金触媒による1,6-エンインの6-endo環化が完璧な位置選択性で進行した。また、CDE環部の改良合成法を開発した。環縮小カップリング法によるテトラヒドロフランカルボン酸エステルの合成と第四級アンモニウム塩の脱離反応の利用により、合成経路を6工程短縮することに成功した。
有機合成化学
サポニンの中には顕著な生物活性を示すものが多く含まれるにもかかわらず、全合成に関する報告は少ない。その理由として、天然から入手可能な原料を用いた半合成を除くとアグリコン部の供給に膨大な労力を要することが挙げられる。本研究ではシラシロシドE-1のアグリコン部の合成研究に取り組み、新たな骨格構築法を提供するための知見を獲得することができた。その成果は将来的に、サポニン類を利用した創薬化学研究に利用されることが期待される。