研究課題/領域番号 |
16K08206
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
今西 進 名城大学, 薬学部, 助教 (00757502)
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研究分担者 |
妹尾 洋 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50236113)
水野 智博 名城大学, 薬学部, 助教 (40711669)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 質量分析 / プロテオミクス / リン酸化部位同定 / シミュレーション / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
リン酸化ペプチドMS/MSスペクトルのシミュレーション用プログラムの開発をすすめた。Windows OSのコマンドプロンプトにより動作していたものを、他のOS上でも動作可能に改良した。さらにユーザーインターフェイスを与え、種々のパラメーターを容易に変更可能にした。 平成28年に、最新型質量分析計Sciex TripleTOF 6600およびナノ流速液体クロマトグラフEksigent 425が名城大学分析センターに導入された。まず、それらをnanoLC-MS/MS測定に有効に用いられるよう、測定条件の検討を行った。結果、牛タンパク質アルファカゼインの分析において、初期測定条件と比較し測定時間を半分以下に短縮したにもかかわらず、タンパク質配列のカバー率を約1.3倍向上させた。その際、愛知医科大学においてTripleTOF 5600による測定も行い、結果を比較しつつ測定条件の検討を行った。さらに、ヒト慢性骨髄性白血病由来K562細胞の抽出液を用いることにより、複雑な試料への測定条件の最適化も行った。また、試料調製法も検討し、多くの試料をより簡便に調製できるようにした。これらの実験条件を用い、K562細胞のリン酸化ペプチドおよびそれらを脱リン酸化したペプチド、さらに、合成リン酸化ペプチドおよびその脱リン酸化ペプチドの測定を行った。上記合成ペプチドは、フィンランドTurku大学においてQ Exactiveによる測定も行っている。これら測定データは、今後プログラム開発用のモデルデータとして使用していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画には含まれていなかったが、名城大学分析センターにおいて最新型質量分析計TripleTOF 6600が使用可能になったため、その測定条件の検討を優先的にすすめた。それにより測定環境が充実し、プログラム開発に用いるモデルデータの測定が当初の計画より早く進展した。平成28年度に予定していた合成ペプチドおよびカゼインタンパク質の測定に加え、平成29年度での実施を目標にしていた培養細胞リン酸化ペプチドの測定も行った。 また、平成28年度に目標にしていたリン酸化シミュレーション用プログラムのユーザーインターフェイスの開発を行った。現在、上記モデルデータを使用し、プログラムの動作の確認、さらにシミュレーション条件の検討をすすめている。同様に平成28年度から計画していたシミュレーションアルゴリズムの改良にも着手した。
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今後の研究の推進方策 |
プログラム開発用に取得したモデルデータを用い、シミュレーション条件の最適化を試みる。並行してシミュレーションアルゴリズムの改良もすすめる。さらにプログラムの有効性を検討するため、リン酸化プロテオミクス試料の調製およびその測定に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
名城大学分析センターに最新型質量分析計が導入されたため、他施設での装置使用が当初想定していたより少なくなり、結果その使用料が計画より少なくなった。ただし、今後は名城大学での消耗品費の増額が見込まれる。また、研究の進捗状況から判断し、平成28年度に計画していた海外出張を行わず、次年度での国外学会発表費用にまわすことにした。主にこれらの理由により、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の通り、次年度使用額は消耗品の購入および海外旅費に使用する予定である。
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