研究課題
平成28年度に、高性能質量分析計Sciex TripleTOF 6600およびナノ流速液体クロマトグラフEksigent 425が名城大学分析センターに導入された。まず、それらの装置をnanoLC-MS/MS測定に有効に用いられるよう、測定条件の検討を行った。その際、愛知医科大学においてTripleTOF 5600による測定も行い、結果を比較しつつ条件検討を行った。また、試料調製法も検討し、 多くの試料をより簡便に調製できるようにした。これらの実験条件を用い、K562細胞のリン酸化ペプチドおよび合成リン酸化ペプチド、さらにそれらの脱リン酸化ペプチドの測定を行った。上記合成ペプチドは、フィンランドTurku大学においてQ Exactiveによる測定も行っている。また、平成28年度から29年度にかけて、Turku大学との共同研究により、リン酸化ペプチドMS/MSスペクトルのシミュレーション用プログラムの開発をすすめた。Windows OSのコマンドプロンプトにより動作していたものを、他のOS上でも動作可能に改良した。さらにユーザーインターフェイスを与え、種々のパラメーターを容易に変更可能にし、このプログラムをSimPhosphoバージョン1とした。この研究成果を論文としてまとめ、Bioinformatics誌において発表した。SimPhosphoをTripleTOFデータに対して用いることにより、SpectraSTによるスペクトルライブラリ検索でリン酸化ペプチドの同定が可能であることを確認した。さらにリン酸化部位を特異的かつ高感度に同定できるよう、シミュレーション条件の最適化を行った。平成30年度には、条件検討をより詳細にすすめ、これらの研究成果を論文としてまとめた(投稿中)。また、Q Exactiveデータに対してもSimPhosphoの条件を最適化した。
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