研究課題/領域番号 |
16K08217
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
方 軍 崇城大学, 薬学部, 准教授 (20412736)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | EPR効果 / ニトログリセリン / アルギニン / ヒドロキシウレア |
研究実績の概要 |
本年度、平成28年度の研究実施計画を踏まえ、3種類の一酸化窒素(NO)産生薬、ニトログリセリン(NG)、アルギニン(Arg)とヒドロキシウレア(HU)を用い、そのEPR効果の促進作用及び高分子治療薬(P-THP, PZP)とのcombination therapyを行った。期間中に以下のことが明らかになった。 1、マウス大腸がんC26皮下移植モデル(EPR効果が高い)において、高分子抗癌薬P-THP及びPZPの著名な腫瘍特異的な分布が見られた。上記のNO産生薬の同時投与により、その腫瘍内分布が顕著に増加した(2-3倍)が、正常組織への影響がほとんど認められなかった。 2、マウスメラノーマB16皮下移植モデル(EPR効果が低い)において、高分子抗癌薬P-THP及びPZPの顕著な腫瘍内分布が見られなかった。しかし、上記のNO産生薬の同時投与により、その腫瘍内分布が顕著に増加した(~3倍)。 3、NOによる高分子薬の腫瘍内集積の増加はPZPを用いin vivo imaging systemにより、AOM/DSS誘発マウス大腸がんモデル及びマウスザルコーマS180皮下移植モデルにおいて検出された。 4、上記の各種腫瘍モデルにおいて、P-THP/PZPとNO産生薬のcombinationにより、体内動態の結果と一致し、約2-3倍高い治療効果が見られた。また、このcombination therapyにおけるNO産生薬のdoseは単独で抗がん効果は認められなかったので、この治療効果の向上はEPR効果の増強によるものと考えられる。さらに、この治療において動物の体重減少などの副作用はほとんど見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施は当初の研究計画を少し変更して進行している。サンプル、実験器具の調達状況などにより、当初計画した腫瘍血管組織学の検討は次年度からするようにしている。その代わりに、元々30年度に予定していた治療実験の一部を今年度に行った。全体的に、研究は概ね順調に進展していると思います。
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今後の研究の推進方策 |
以上の研究結果に基づき、今後は以下の課題について検討する。 1、高分子化CO産生薬SMA/CORM2とPEG-heminを用い、COによるEPR増強を検討する。 2、CO産生薬と高分子抗癌薬(P-THP,PZP)とのcombination therapyを検討する。 3、NO/COによる腫瘍組織・血管の病理学的に変化を調べる
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