研究課題
ネフロネクチン(Npnt)のカルシウム結合部位を明らかにするため、様々な遺伝子構築を作製し、293細胞に遺伝子導入することで上清から様々なNpnt変異体タンパク質を精製した。Npntのカルシウム結合部位の同定は、放射性同位体Ca45によるカルシウムオーバーレイアッセイにより進めた。NpntはEGFリピート、Link、MAM領域から構成されているが、モチーフ解析からCa2+結合部位はEGF内に存在することが推察された。しかしながら実際にはCa2+はEGFリピートとは結合せず、Linkと結合することが分かった。Link内をさらに細かくした変異体を作製することで解析を進めており、現在、合成できるペプチド長までCa2+結合部位を明らかにしつつある。近いうちに抗体作製に取りかかることができる。Npntのカルシウム結合部位をCa45にて同定したら、次に当該部位が実際に細胞内Ca流入を抑制できることをFluo-4を用いた細胞内カルシウム流入試験により検討する。また制御性B細胞への影響を検討するために、脾臓細胞からB細胞を分離してB細胞活性化によるIL-10産生への影響を検討する。現在、それらの手技の確立も同時に進めている。また当研究で作製したサンドイッチELISA系を用いることで、珪肺症患者と強皮症患者で血中Npnt発現が亢進していることが分かった。珪肺症患者や強皮症患者は、自己免疫が亢進している場合が多いことから、ヒトにおいてもNpntと免疫疾患との関与を示唆する結果を得ることができた。
3: やや遅れている
2016年度に福山大学に赴任して、研究室のセットアップから開始する必要があり、研究機材の確保や試薬調整に多くの時間を要した。その後、実験を開始することができたが、初期の遅れを取り戻すことができていない。しかしながら、現在の実験経過は順調である。
Npntのカルシウム結合部位をペプチド合成可能レベルまで同定し、そのペプチドに対する抗体を作製する。抗体は、まずはウサギポリクローナル抗体を作製するが、モノクローナル抗体の作製も検討する。得られた抗体を用いることで、制御性B細胞の関与が示唆されている実験的自己免疫性脳脊髄炎EAEモデルにおけるNpntのカルシウム結合部位の役割を明らかにする。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Front Microbiol
巻: 8 ページ: 2596
doi: 10.3389/fmicb.2017.02596.
J Cell Commun Signal.
巻: 12 ページ: 333-342
doi: 10.1007/s12079-017-0413-7.
J Immunol.
巻: 199 ページ: 82-90
doi: 10.4049/jimmunol.1601329.
http://www.fukuyama-u.ac.jp/info/press-release/entry-4336.html