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2017 年度 実施状況報告書

小胞型伝達物質トランスポーターに注目したアストロサイト機能的小胞マーカーの研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K08230
研究機関岡山大学

研究代表者

日浅 未来  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30587720)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードシグナル伝達 / 小胞 / アストロサイト / 薬学
研究実績の概要

小胞型伝達物質トランスポーターは伝達物質の小胞内充填を司る膜タンパク質である。小胞型伝達物質トランスポーターは神経だけでなく、アストロサイトや末梢の分泌細胞にも高発現し、伝達物質の小胞内蓄積と分泌に関与している。アストロサイトはグルタミン酸、ATP、D-セリン等を小胞内に充填し開口放出することで、情報を神経や他のグリア細胞に伝達している。この情報伝達(gliotransmission)は神経の化学伝達(neurotransmission)と似ていると考えられているが、詳細は不明である。本研究の目的は、アストロサイト分泌小胞の機能と局在を解明することである。本年度は、ATPの小胞内輸送を担うVNUTについて解析した。VNUTはアストロサイトのdense-core vesicleに局在することを見いだした。アストロサイトからのATPリリース実験では、アストロサイトは高カリウム条件下でATPをリリースし、このリリースはTeNT感受性、カルシウムイオン依存性を示した。また、VNUT特異的な阻害剤であるclodronateを見いだし、in vivoで疼痛緩和に効果があることを見いだした。興味深いことに、神経細胞ではclodronateによってATPリリースが阻害されるが、アストロサイトからのATPリリースは阻害されなかった。これは、clodronateの取り込みに関与するトランスポーターの発現が神経細胞とアストロサイトで異なることが考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ATPの小胞内輸送を担うVNUTについては、アストロサイトのdense-core vesicleに局在し、開口放出に関与するという結果を得て、論文として発表した。
D-セリンの小胞内輸送を担うVDseTについても、初代培養アストロサイトを用いて局在が明らかになりつつある。

今後の研究の推進方策

今後はD-セリンの小胞内輸送を担うVDseTについて検討をすすめる。
ポリアミンを輸送するVPATについては開口放出による分泌量測定をし、機能解明につなげていく。

次年度使用額が生じた理由

(理由)産休育休取得のため、実験量が想定より少なかったため次年度使用額が生じた。
(使用計画)小胞型伝達物質トランスポーターの抗体や各種オルガネラマーカーの抗体購入、初代培養費用や動物購入・維持費として使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Vesicular nucleotide transporter mediates ATP release and migration in neutrophils2018

    • 著者名/発表者名
      Harada Yuika、Kato Yuri、Miyaji Takaaki、Omote Hiroshi、Moriyama Yoshinori、Hiasa Miki
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 293 ページ: 3770~3779

    • DOI

      doi: 10.1074/jbc.M117.810168

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Polyamineのマスト細胞分泌顆粒内蓄積と分泌機構2018

    • 著者名/発表者名
      日浅 未来
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 69 ページ: 257-263

  • [雑誌論文] Identification of a vesicular ATP release inhibitor for the treatment of neuropathic and inflammatory pain2017

    • 著者名/発表者名
      Kato Yuri、Hiasa Miki、Ichikawa Reiko、Hasuzawa Nao、Kadowaki Atsushi、Iwatsuki Ken、Shima Kazuhiro、Endo Yasuo、Kitahara Yoshiro、Inoue Tsuyoshi、Nomura Masatoshi、Omote Hiroshi、Moriyama Yoshinori、Miyaji Takaaki
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 114 ページ: E6297~E6305

    • DOI

      doi: 10.1073/pnas.1704847114

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Vesicular nucleotide transporter (VNUT): appearance of an actress on the stage of purinergic signaling2017

    • 著者名/発表者名
      Moriyama Yoshinori、Hiasa Miki、Sakamoto Shohei、Omote Hiroshi、Nomura Masatoshi
    • 雑誌名

      Purinergic Signalling

      巻: 13 ページ: 387~404

    • DOI

      doi: 10.1007/s11302-017-9568-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マスト細胞における小胞型ポリアミントランスポーター(VPAT)の局在と機能2017

    • 著者名/発表者名
      竹内智也,原田結加,森山理美,古田和幸,田中智之,宮地孝明,表弘志,森山芳則,日浅未来
    • 学会等名
      第58回日本生化学会中国・四国支部例会
  • [学会発表] 小胞型グルタミン酸トランスポーター1 スプライシングバリアントの発現と機能2017

    • 著者名/発表者名
      森山理美,居原田真史,表弘志,森山芳則, 日浅未来
    • 学会等名
      第58回日本生化学会中国・四国支部例会
  • [学会発表] 骨粗鬆症治療薬クロドロン酸は小胞型ヌクレオチドトランスポーターを標的として慢性疼痛を改善する2017

    • 著者名/発表者名
      加藤百合, 日浅未来, 市川玲子, 蓮澤 奈央、門脇敦志, 岩槻健,島和弘, 遠藤康男,北原吉朗, 井上剛, 野村 政壽、表弘志, 森山芳則, 宮地孝明
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会

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公開日: 2018-12-17  

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