研究課題
本研究の目的は、種々の生理活性物質、あるいは低分子化合物によるIgE非依存的なマスト細胞活性化のメカニズムを解明し、マスト細胞を標的とした新たな慢性炎症性疾患の治療薬開発のための基礎的知見を得ることである。平成28年度は以下の成果を得た。1.Mrgprファミリー遺伝子の機能解析:GPCR shedding assayを利用してヒトMrgprX2の評価系を確立した。その他のヒトMrgpr遺伝子群をクローニングした。マウスの培養モデルを用いて、マスト細胞の成熟に伴いMrgprB1, B2, B10がそれぞれ誘導されることを見いだした。2.黄色ブドウ球菌δ毒素による脱顆粒応答の解析:マウス骨髄由来培養マスト細胞を用いて、δ毒素による脱顆粒応答は、抗原抗体反応による応答を抑制する阻害剤(ホスホリパーゼC阻害剤U73122、Ca2+キレーターBAPTA-AM、Syk阻害剤piceatannol、PI3キナーゼ阻害剤LY294002)にいずれも抵抗性であることを見いだした。また、サイトゾルCa2+濃度の増大を誘導することを明らかにした。3.GPR35アゴニストの探索および機能解析:いくつかのリガンド候補をスクリーニングしているが、既存のものより高親和性のものは見いだせていない。4.AICARおよびレスベラトロールの作用機序の解析:AICARの前処理は、小胞体のCa2+-ATPase阻害剤であるタプシガージン、あるいは抗原刺激によるサイトゾルCa2+濃度の増大を抑制することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
計画していた実験を実施し、それぞれ成果を得ている。有望な化合物を得ていないGPR35アゴニストの探索は継続して実施する予定である。
当初の計画の遅延、あるいは実験を進める上での想定外の問題はないため、引き続き現在の検討を継続する予定である。
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