研究課題/領域番号 |
16K08232
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
勅使川原 匡 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40403737)
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研究分担者 |
西堀 正洋 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
高橋 英夫 近畿大学, 医学部, 教授 (60335627)
丹羽 淳子 近畿大学, 医学部, 講師 (60122082)
劉 克約 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 非常勤研究員 (40432637)
和氣 秀徳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (60570520)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高ヒスチジン糖タンパク / HRG / 急性炎症 / 慢性炎症 / 敗血症 / 血漿タンパク / DAMPs / 肝 |
研究実績の概要 |
血漿高ヒスチジン糖タンパク(histidine-rich glycoprotein, HRG)は、様々な炎症関連因子との相互作用によって抗炎症作用を発揮する多機能タンパクである。本研究では、全身性炎症反応が末梢臓器障害を引き起こす分子機序の解明を目的とし、HRG遺伝子の肝における発現制御機構、及び、HRGタンパクが炎症病態の進行を抑制する分子機序の解析をおこなった。 急性炎症(敗血症)や慢性炎症(高血圧、高血糖)の実験ラットモデルから肝を採取し、DNAマイクロアレイ解析をおこなった。その結果、肝HRG遺伝子の発現変動と相関、または、逆相関する転写調節因子を14個同定した。これらの候補遺伝子の株化肝細胞での遺伝子発現をRT-PCR法によって検討したところ、株化肝細胞でもHRGと同じような遺伝子発現の変動をする遺伝子は、5個存在した。この遺伝子は、HRG発現を制御している可能性が高いと考えられる。また、HRGタンパクは、生理的に制御可能な穏やかな炎症症状において、抗炎症作用として作用するために肝産生量が増加している可能性が示唆された 次に、急性炎症(敗血症)や慢性炎症(高血圧)の実験ラットモデルから血漿を採取し、HRGタンパクの精製過程でHRGタンパクと共に回収される夾雑タンパクをSDS-PAGE・質量解析によって7種同定した。これらのタンパクとHRGの結合親和性を分子間相互作用解析装置Biacoreシステムを用いて解析したところ、敗血症(急性炎症)によってHRGタンパクとの結合が増加する血漿因子を3個、減少する血漿因子を1個同定した。新たに同定したHRG結合血漿因子は、どれも炎症病態によって血中量が増加する既知の炎症関連血漿因子であった。これらの血漿因子の機能にHRGが影響を与えている可能性が示唆された。
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