現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題とこれに先立つ研究課題により得られたMDGA2についての解析結果をまとめて公表するとともに(Neuron, 91, 1052-1068, 2016)、MDGA2欠失マウスのASDモデルマウスとしての有用性を確認し、これを利用することにより、少なくとも一部のASDに奏功しうる薬剤の探索に成功した。また、MDGA1欠失マウスの解剖学的・電気生理学的・行動生物学的な解析を進め、その基礎的な表現形を明らかにするとともに(Cell Rep. 21, 3637-3645, 2017)、その形質を改善する薬剤の探索に成功した。これらの解析によりMDGA1が抑制性シナプスの、MDGA2が興奮性シナプスの形成制御においてそれぞれ重要な役割を果たしていることを示し、MDGAファミリー分子群のE/Iバランス統御における基本的な機能を明らかにするとともに、E/Iバランス偏移に伴う認知・行動異常を改善しうる薬剤を同定し、こうした発達障害に分類される異常の少なくとも一部は成人後の投薬により改善されうることを示すことができたため。
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