濾胞性ヘルパーT 細胞(Tfh)由来のメモリー細胞は、効率的に抗体産生を誘導することが明らかになってきたが、Tfhメモリー細胞の形成、維持、および2次応答がどのようにコントロールされているのかはほとんど明らかになっていない。そこで我々は Tfh細胞の動態を生体内で追跡することでTfh細胞がどのような過程を経てメモリー細胞に変化していくのか、また他のメモリーT細胞と比べてどのような特徴を持っているのかを明らかにすることを目的として研究を遂行している。 平成30年度は、昨年度作製したROSA26の遺伝子座にCreリコンビナーゼで誘導される蛍光タンパク質YFPおよびジフテリアトキシンレセプター(DTR) を挿入したマウス(R26 YFP 2A DTR)とTfh細胞のマーカーであるBcl6発現と同時に蛍光タンパク質TdTomatoとタモキシフェン誘導性Creリコンビナーゼ(CreERT2)を発現するマウス(Bcl6 tdTomato CreERT2)を交配した。このマウスのT細胞はCXCR5の発現強度に比例してtdTomatoの蛍光強度が上昇することが観察され、tdTomatoがBcl6遺伝子発現をモニターするレポーターとして機能することが確認された。このマウスにタモキシフェンを投与すると、tdTomato陽性のTfh細胞にYFPの発現が誘導された。さらにジフテリアトキシンを投与することにより、これらのYFP陽性細胞を体内から消去することに成功した。 今回樹立した遺伝子改変マウスによって、生体内のTfh細胞のフェイトマッピングが可能になり、かつそれらの細胞を消去することで、生理的な役割を明らかにすることができるシステムが構築できた。
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