研究課題
肥満は多くの生活習慣病の発症原因とされ、肥満の解消や防止法の開発は重要な課題とされる。現在、画期的な抗肥満薬が開発されていない理由の一つとして、肥満の制御機構が明確でないことが挙げられる。これまでに、プロスタグランジン(PG)などのエイコサノイドが脂肪細胞の分化制御に関わることが明らかとなってきた。本研究では、細胞および遺伝子改変動物を用いて、肥満制御におけるエイコサノイドの生理的意義とその制御機構を解明する。さらに、エイコサノイドの機能調節を目的とした抗肥満薬の開発を目指している。我々は、PGE2の食事性肥満への影響を調べるために、PGE2合成酵素(mPGES-1)遺伝子欠損マウスを高脂肪食で2ヶ月間飼育したところ、有意な体重増加は認められなかったが、体重は増加傾向にあった。さらに解析を進めるために、mPGES-1の脂肪組織特異的遺伝子欠損マウスの作製を進めている。また、PGD2による肥満促進機構について解析したところ、PGD2はDP2受容体に結合し、細胞内のcAMPの濃度を低下させることにより脂肪分解系の酵素の活性化を抑制し、脂肪蓄積を促進していることが分かった。脂肪細胞におけるPGD2の機能解析をさらに進めるために、CRISPR/Cas9法によりDP2遺伝子欠損脂肪細胞の作製を行い、現在解析を進めている。脂肪細胞の分化制御におけるロイコトリエン類の影響を調べるために、脂肪細胞の分化過程におけるロイコトリエン合成系酵素の遺伝子発現調節について解析を開始した。
2: おおむね順調に進展している
今年度実施予定であったmPGES-1遺伝子欠損マウスの肥満への影響について解析を終了した。さらに、脂肪細胞特異的mPGES-1遺伝子欠損マウスの作製を行っている。また、PGD2による脂肪蓄積促進機構を解明した。
DP2遺伝子欠損マウスおよび脂肪細胞特異的PGD合成酵素遺伝子欠損マウスを用いて、脂肪組織におけるPGD2の機能について解析する。さらに、作製したDP2遺伝子欠損脂肪細胞を用いて、細胞レベルでのPGD2の脂肪蓄積の詳細なメカニズムを明らかにする。また、ロイコトリエン類の脂肪細胞の分化制御における役割を解明する。
遺伝子改変マウスの費用の支払いがまだのため
作製が終了次第支払う
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Mol. Cell. Endocrinol.
巻: 431 ページ: 1-11
10.1021/acs.jafc.6b04521
PLoS ONE
巻: 11 ページ: e0163640
10.1371/journal.pone.0163640
J. Agric. Food Chem.
巻: 64 ページ: 9607-9615
J. Funct. Foods
巻: 22 ページ: 490-503
10.1016/j.jff.2016.02.012
http://www.oups.ac.jp/kenkyu/kenkyuushitu/byoutaiseika.html#01