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2016 年度 実施状況報告書

細胞外基質との相互作用によるアストロサイトの形態形成機構

研究課題

研究課題/領域番号 16K08258
研究機関神戸薬科大学

研究代表者

力武 良行  神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (50419488)

研究分担者 堀部 紗世  神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (50389110)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードアストロサイト / ジストログリカン / α-シントロフィン / AQP4 / ラミニン
研究実績の概要

脳内では、アストロサイトは外界からのシグナルに応答して、多数の突起を伸長して神経細胞や微小血管とコンタクトし、神経機能を制御している。しかし、従来法による初代培養アストロサイトは突起を形成しないために、突起形成の制御機構には依然不明な点が多い。私どもは、マウスの大脳基底核原基から作製したニューロスフェアを分化誘導して分散培養することによって、突起を形成する培養アストロサイトを得た。この突起形成培養アストロサイトは、初代培養アストロサイトに比べて、アストロサイトのマーカー分子であるGFAPやAQP4が高発現していた。アストロサイトの突起形成は、ポリ-L-オルニチンやコラーゲンのコート上よりも、ラミニンコート上で有意に促進されたが、血管内皮型ラミニンであるラミニン-411、-511とアストロサイト型ラミニンであるラミニン-111、-211との間には、差を認めなかった。siRNAを用いてラミニンの受容体であるジストログリカンをノックダウンしたところ、AQP4の染色シグナルは弱くなり、アストロサイトの突起形成は減弱した。また、AQP4を細胞内で裏打ちしているα-シントロフィンをノックダウンしてもAQP4の染色シグナルは弱くなり、AQP4及びα-シントロフィンをノックダウンしてもアストロサイトの突起形成は減弱した。以上から、アストロサイトの突起形成にはラミニンが重要であり、少なくともジストログリカンは突起形成に関わるラミニンからのシグナルを受容しているものと考えられた。さらに、α-シントロフィンやAQP4も、突起形成を促進していることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた①突起形成におけるラミニンの役割、②突起形成におけるジストログリカン、α-シントロフィン、AQP4の役割、③突起形成時のAQP4の局在化におけるジストログリカン、α-シントロフィンの役割については解析が終了した。

今後の研究の推進方策

ラミニン受容体には、ジストログリカン以外にもインテグリンβ1がある。H29年度以降は、突起形成におけインテグリンβ1の役割及びラミニンの分泌機構について解析する。siRNAを用いてインテグリンβ1をノックダウンして分散培養する。免疫染色を行い、突起の長さと分枝数を計測するとともに、AQP4の免疫染色を行い、AQP4の局在を評価する。また、アストロサイトから産生・分泌された内因性ラミニンが突起形成に関与しているか検討するとともに、アストロサイトからのラミニンの分泌機構を解明する。

次年度使用額が生じた理由

英語論文の校閲費としての「謝金」及び実験用動物飼育管理費としての「その他の経費」として計上していたが、論文の投稿まで至らなかったこと、及び実験用動物飼育管理費は他の予算から計上したことから、使用額が予定よりも少なくなった。

次年度使用額の使用計画

平成29年度に英語論文の投稿を予定しており、平成29年度中には使用する見込みである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ラミニンによるアストロサイトの突起伸長の促進2017

    • 著者名/発表者名
      宇野槙優,堀部紗世,井上咲那,後藤麻友,西岡詩織,河内正二,佐々木直人, 平田健一,力武良行
    • 学会等名
      日本薬学会第137年会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2017-03-25
  • [学会発表] ラミニンによるアストロサイト突起形成の促進2016

    • 著者名/発表者名
      藤田英伸, 佐藤淳哉, 堀部紗世, 南智美, 平田健一, 力武良行
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2016-11-30

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公開日: 2018-01-16  

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