研究課題/領域番号 |
16K08275
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
副田 二三夫 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (10336216)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 排尿機能障害 / 腹圧性尿失禁 / VCD / 閉経 / BALB/cマウス / カプサイシン / エンリッチ環境 / 鎮咳薬 |
研究実績の概要 |
平成28年度までの研究において、4-vinylcyclohexene diepoxide (VCD) は雌性BALB/cマウスの排尿機能に影響を及ぼし、閉経周辺期を反映する時期において失禁様の症状を示した。そこで平成29年度は、このマウスが腹圧性尿失禁のモデルになり得るのか否かを調べるために、咳誘発物質であるカプサイシンまたはその溶媒をこの閉経モデル(VCD群)と対照群に噴霧し、咳及び排尿の回数を測定した。その結果、1.カプサイシン噴霧による咳の回数は、溶媒噴霧時に比べ、VCD群と対照群の両方で増加した。一方、2.カプサイシン噴霧による排尿回数は、溶媒噴霧時に比べ、VCD群のみで増加傾向を示した。これらの結果から、カプサイシン刺激により誘発された排尿は、VCD群に感受性を示すことがわかった。 次に排尿機能改善因子である鎮咳薬とエンリッチ環境の作用について予備検討を行い、以下の知見を得た。非麻薬性鎮咳薬クロペラスチンの慢性経口投与は、雌性BALB/cマウスの排尿機能に感受性を示し、3.覚醒下における昼夜連続の排尿活動測定の結果、24時間と暗期の排尿回数および総排尿量は、対照群に比べクロペラスチン投与群で増加し、24時間の1回排尿時間は、対照群に比べクロペラスチン投与群で延長した。4.麻酔下における膀胱内圧測定の結果、尿流率は、対照群に比べクロペラスチン投与群で減少した。 また、エンリッチ環境は、閉経周辺期におけるVCDマウスの覚醒下における排尿活動に感受性を示し、5.VCD群の明期の排尿回数および総排尿量は、対照群に比べエンリッチ環境飼育群で減少した。6.VCD群の暗期の1回排尿量は、対照群に比べエンリッチ環境飼育群で増加した。 以上の結果から、本研究で作成した閉経モデルマウスは、腹圧性尿失禁様の症状を示すこと、エンリッチ環境はこのモデルに感受性を示す可能性が示唆された。なお、鎮咳薬とエンリッチ環境の作用については、次年度以降も継続して検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度の熊本地震の影響で、平成29年度は、当初平成28年度に計画していた研究も実施せざるを得なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
閉経周辺期を反映するVCDマウスは、腹圧性尿失禁のモデル動物になり得る可能性が示唆されたため、今後は排尿機能改善因子であるエンリッチ環境、鎮咳薬の作用について、さらに検討する予定である。これらの因子で失禁改善作用が認められた場合は、排尿反射に関与する脳部位と膀胱をダイセクションし、当初の予定通り、まずPCRアレイを用いて神経活動に関与する受容体や神経栄養因子などについて、網羅的に遺伝子発現定量解析を行い、2倍以上の変動を認めた分子については、定量的RT-PCRにより、mRNAレベルで失禁の改善に確実に関与する分子を同定する。 また、今後の研究の進捗状況に依存するが、VCDマウスの排尿機能を詳細に解析する一環として、VCDマウスの膀胱内圧測定や膀胱平滑筋の収縮実験、既存薬感受性の有無についても検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 現在までの進捗状況でも記載したように、平成28年度の熊本地震の影響で、当初の平成29年度の研究計画より、進捗が遅れているため。 (使用計画) 研究で使用する試薬や動物、器具などの物品費として使用する予定である。
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