研究課題/領域番号 |
16K08289
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
水谷 暢明 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (90340447)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | IL-20サブファミリー / IL-22 / 皮膚炎 / ダニ |
研究実績の概要 |
IL-20サブファミリーであるIL-19、IL-20、IL-22、IL-24およびIL-26は、免疫系と上皮細胞間をつなぐ重要なサイトカインであることが示唆されている。しかしながら、アレルギー疾患にIL-20サブファミリーが実際どのような役割を果たしているかは不明である。本研究では、マウスのアトピー性皮膚炎モデルを用いてIL-20サブファミリーの役割を、中和抗体およびリコンビナントタンパク質を用いたin vivo実験を中心とした薬理学的解析により明らかとする。これにより、IL-20サブファミリーがアレルギー疾患における新規治療薬の開発ターゲットとなり得るか否かを検証する。そこで、本年度は、ダニ抗原により誘導される皮膚炎モデルを用いてIL-22の役割を検討した。 これまでに、ダニ抗原をマウスの耳介に繰り返し塗布することにより耳が赤く腫れる病態モデルが作製可能であることを明らかにしてきた。抗IL-22抗体(150 ug/mouse)を抗原塗布の初期に腹腔内投与すると中期の耳の腫れは有意に抑制されることを明らかにした。しかしながら、後期の耳の腫れは抑制されなかった。このことより、IL-22はダニ抗原により誘導される皮膚炎症状の発症に関与している可能性が示唆された。今後は、抗IL-22抗体で抑制されなかった後期の耳の腫れに対して、抗体の繰り返し投与により抑制されるか否か検討する予定である。さらに、病理標本を作製して炎症細胞浸潤、IL-22の産生細胞、IL-22リコンビナントの耳への塗布で皮膚炎症状が増悪化するかなどについて検討する予定である。また、他のIL-20サブファミリーの役割についても検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、IL-20サブファミリーのうちのIL-19、IL-20、IL-22、IL-24およびIL-26が喘息や皮膚炎などのアレルギー疾患に関与しているか否かを検討することを目的とした。その結果、抗IL-22抗体をダニ抗原による皮膚炎モデルに投与すると皮膚炎症状が抑制されることを明らかにした。この結果は、IL-22がアトピー性皮膚炎に関与している可能性を示唆しており、とても重要な知見であると考える。このことより、本年度は、IL-22の皮膚炎における関与を明らかにしたことでおおむね順調に進んでいると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
ダニ抗原をマウスの耳介に繰り返し塗布することにより耳が赤く腫れる病態モデルを用いて、抗IL-22抗体(150 ug/mouse)を抗原塗布の初期に腹腔内投与すると中期の耳の腫れは有意に抑制されることを明らかにした。しかしながら、後期の耳の腫れは抑制されなかった。このことより、IL-22はダニ抗原により誘導される皮膚炎症状の発症に関与している可能性が示唆された。しかしながら、後期に認められる皮膚炎症状はIL-22によって引き起こされているか否かは不明である。そこで、抗IL-22抗体で抑制されなかった後期の耳の腫れに対して、抗体の繰り返し投与により抑制されるか否か検討する予定である。さらに、病理標本を作製して炎症細胞浸潤、IL-22の産生細胞、IL-22リコンビナントの耳への塗布で皮膚炎症状が増悪するかなどについて検討する予定である。また、ダニによる皮膚炎症状の発症にはCD8細胞が関与している。そこで、皮膚炎症状発症におけるIL-22とCD8の関係を明らかにする予定である。さらには、他のIL-20サブファミリーの役割についても検討して、IL-22との関係を検討する予定である。
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