研究課題
植物二次代謝産物として重要であるアントラキノン生合成系において、未知のアントラキノン特異的配糖化酵素を単離するため、今年度は以下の研究を行った。まず、前年度に単離したモミジバダイオウ(Rheum palmatum)由来のエモジン配糖化酵素の基質特異性について検討した。その結果、アントラキノン以外にスチルベンに対しても顕著な配糖化活性を有していた。さらに、これらの基質に対する親和性を比較したところ、同程度の基質親和性を有していた。今後、これらの配糖化産物のモミジバダイオウ植物体での蓄積量について解析することで、この配糖化酵素の役割について明らかにできると考えられる。続いて、モミジバダイオウと類縁植物であり、遺伝子配列情報が公開されているガーデンルバーブ(Rheum rhabarbarum)のデーターベースより取得した、植物二次代謝糖転移酵素遺伝子の配列情報から系統学的に離れた9分子種の配糖化酵素遺伝子を単離した。これらをすべて組換え酵素として大腸菌で発現させ、アントラキノンアグリコンに対する配糖化活性を調べた。その結果、2分子種がダイオウ属植物で報告のあるアントラキノン配糖体の一つ、レイン配糖体を生成する活性を有していた。これらのクローンの基質特異性を精査することで、今後、アントラキノン特異的配糖化酵素であるかを明らかにできると考えている。また、モミジバダイオウの葉と根のtotal RNAを材料としたRNA-seq解析による網羅的な遺伝子配列情報の中に、前述のガーデンルバーブから見出したレイン配糖化酵素の相同分子種も含まれていた。これについても遺伝子配列の単離と機能解析を進めていく予定である。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 83 ページ: 106~113
10.1080/09168451.2018.1524706