研究課題/領域番号 |
16K08298
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
牧野 利明 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (80326561)
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研究分担者 |
大澤 匡弘 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (80369173)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 加工ブシ / オキサリプラチン / パクリタキセル |
研究実績の概要 |
ハナトリカブトの根を減毒処理のために加熱加工した生薬である加工ブシの有効成分としてneolineを単離し、その神経障害性疼痛に対する有用性を明らかにしようと試みた。 加工ブシ熱水抽出エキスは、指標成分であるbenzoylmesaconine (BM)を0.042%と最も多く含み、次いでneoline 0.026%、benzoylaconine (BA) 0.010%を含んでいた。この加工ブシをラットに経口投与後、経時的に採血し、各アルカロイドの血中濃度を測定したところ、15分後の血中からはその順で高濃度に検出された。一方、9時間におけるBM、neoline、BAの血中濃度曲線下面積は、それぞれ64、65、32 ng/mL・hrと、neolineとBMは同等の値を示したことから、BMと比較してneolineの生物学的利用能は比較的高いことが推測された。市販されている13種類の加工ブシ製剤中のneolineの含量は、0.042 ± 0.016%と高いバラツキがあり、また修治前のウズを減毒のために加熱加工処理しても、neolineの含量は変化しなかった。以上のことから、neolineのトリカブトの根中の含量は、加熱加工(修治)によるものではなく、トリカブトの栽培条件によることが推測された。 Paclitaxicelによるマウス神経障害性疼痛に対して、加工ブシ末およびneolineは有意な緩和作用を示したものの、BMは有意な緩和作用を示さなかった。Neolineの作用機序の1つとして、Nav1.7に対するアンタゴニスト作用が認められた。以上のことから、加工ブシの神経障害性疼痛に対する有効成分は、指標成分であるBMではなく、neolineである可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗がん剤の副作用を利用した神経障害性疼痛モデルに対するNeolineの作用については、当初の計画以上に進展していると言えるが、末梢神経部分結紮による神経障害性疼痛モデルに対する作用の検討が計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
末梢神経部分結紮による神経障害性疼痛モデルに対するneolineの作用を検討する。また、その作用機序について、マウスの神経節による関連タンパク質の発現量の変化を計測することにより推定する。 また、一般的な神経障害性疼痛モデルであるShelzerモデルに対するneolineの作用が期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部、少額ではあるが研究費が残ったので、次年度に継続させることとした。
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