研究実績の概要 |
平成29年度は平成28年度に実施した生薬カンゾウ3種(Glycyrrhiza inflata, G. glabra, G. uralensis)をNMRメタボロミクスの手法により判別出来たことを論文として報告した(R. Suzuki, F. Nakano, H. Ohno, T. Murakami, Y. Okada and Y. Shirataki, Distinguishing Glycyrrhiza species using NMR-based metabolomics, Nat. Prod. Commun., 13, 71-73 (2018).)。さらに計画書に記載した通り、桂皮及び芍薬についてそれぞれ市場品7種と5種を入手し、加熱環流抽出によりそれらのメタノール抽出エキスを調製した。調製したそれらのメタールエキスはロータリーエバポレータにより溶媒留去を行い、得られた残渣をdimethyl sulfoxide-d6に溶解し1H NMRスペクトル測定に供した。得られた1H NMRスペクトルは、Alice2 for metabolomeにてデータ処理し主成分分析(PCA)に供した。その結果、score plot上で桂皮は食品用と生薬用とでそれぞれ別々にプロットされた。一方、芍薬は日本産のもののうち大潟のものと大和のものはscore plot上で別々にカテゴライズされ、中国産のものはそれらとは異なる位置にプロットされた。これまで桂皮や芍薬が産地によってどれほど含有成分が異なるのかということは、あまり明らかとされていなかったが今回NMRメタボロミクスの手法により含有成分が産地より異なることが明らかとなった。
|