本研究課題では、ヒルガオ科植物に含有される樹脂配糖体をシーズとする医薬品開発のための基礎研究として、新規樹脂配糖体を単離、構造決定するとともに、それらの有する生物活性を明らかにすることを目的としているが、今年度は下記の研究実績を得た。 1.ルコウアサガオ種子より7種の新規樹脂配糖体を5種の既知樹脂配糖体と共に単離し、それらの構造を各種機器分析ならびに化学反応により決定した。これらは、マクロランクトンタイプとアシル化配糖酸のメチルエステルに大別された。さらに、単離した化合物のうち7種にヒト白血病細胞株HL-60に対する細胞増殖試験を行い、3種のマクロラクトンタイプの樹脂配糖体に、活性を見出した。 2.コヒルガオの樹脂配糖体画分の構成配糖酸として新たに4種を得た。先に単離した2種を含め、それらの構造を機器分析データを用いて解析した結果、糖部は、5単糖、6単糖および7単糖で、アグリコン部は水酸基の位置のみ異なる2種のオキシ脂肪酸からなることが明らかとなった。これらのうち、2種は既知配糖酸であるが、他の4種は新規配糖酸である。 3.マメアサガオ地上部の樹脂配糖体画分から、5種の樹脂配糖体を得た。これらは、いずれもマクロラクトンタイプで、中鎖脂肪酸を構成有機酸として有すると推定した。 4.ハリアサガオ種子から単離していた2種の新規樹脂配糖体および1種の新規配糖酸の構造を各種スペクトルデータから推定した。 全研究期間を通して、7種のヒルガオ科植物を材料に樹脂配糖体に関する研究を行った。新規樹脂配糖体として17種を得、それらのうち1種の新タイプを含む15種の構造決定に成功した。また、単離した化合物のうち、1種に抗単純ヘルペス1型活性、3種に白血病細胞株(HL-60)に対する増殖抑制活性を見出した。
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