本研究は、酵母によるトリテルペンサポニンの生産を目的としている。ソヤサポニンIの生合成において第一配糖化酵素が同定されていない。本研究の遂行にあたっては、この第一配糖化酵素が必須である。前年度までに、ダイズ、及びタルウマゴヤシのゲノム配列データーベースを基に、ソヤサポゲノールBにグルクロン酸を転移する酵素の候補遺伝子の絞り込みを行い、発現様式から最も可能性の高い遺伝子として、Glyma.02g104600を選び、2種の異なった遺伝子を発現させることができる酵母発現ベクターpESCにUDP-グルコース脱水素酵素(DH)とGlyma.02g104600の両遺伝子を組み込み、ソヤサポゲノールBモノグルクロナイド生産の活性を調べ、その結果を「微弱であるが活性が見られた」と前年度の実績報告書に報告した。 最終年度においては、この微弱な活性の再現性を検討した。その結果、再現性は見られずGlyma.02g104600の活性はfalseであるという結論に至った。そこで、候補遺伝子の対象を広げることにした。(1)根で高発現しているもの(2)種子で高発現しているもの(3)芽生で高発現しているもの(3)生合成の上流にあるβ-アミリン合成酵素と強い相関があるもの(4)ステロール配糖化酵素とアミノ酸配列で相同性が高いもの(5)精製酵素の情報から脂溶性の高いもの、及び分子量が一致するもの、などを候補の基準として候補遺伝子30種を選び出した。これまで、合計19種について活性を調べた。これまでのところ有意な活性は見いだせていない。引き続き残りの11種について活性を検討している。
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