研究課題/領域番号 |
16K08312
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
松田 久司 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40288593)
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研究分担者 |
中村 誠宏 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (20411035)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 終末糖化産物 / Lawsonia inermis / Bacopa monniera / フラボノイド / フェニルエタノイド / PC12細胞 / 神経突起 / アルドース還元酵素 |
研究実績の概要 |
本研究では、探索資源として抗糖尿病作用や強壮作用が伝承され安全性が十分確立している天然薬物を厳選し探索資源とする。そして終末糖化産物 (AGEs) 生成抑制作用および神経細胞、血管内皮細胞、繊維芽細胞を用いたAGEs誘発細胞障害に対する抑制作用を調べる。さらに、化学修飾した誘導体や関連化合物の活性を比較検討して、活性発現の必須構造など構造活性相関を解析するとともに、顕著な活性を示す化合物についてはAGEs-RAGE系への作用を明らかにするとともに糖尿病モデルマウスを用いたin vivo試験によって効果の確認を行う。 平成28年度はAGEsが神経細胞の機能性低下を引き起こすことを確認する目的で、神経成長因子 (NGF) 添加によるラット副腎褐色細胞腫由来PC12細胞の神経突起伸張などの神経細胞様分化に与える糖化アルブミンの影響を検討したところ、分化的形態変化が約7%まで低下することを確認した。構築済みのエキスライブラリーについて、AGEsの生成抑制のみならず、AGEsのPC12細胞に及ぼす作用などについて検討したところ、指甲花(Lawsonia inermis)花部エキスに糖化アルブミンによるPC12細胞の突起伸張減少に対する抑制作用が認められ、バイオアッセイを併用しながら活性成分の探索を行ったところ、quercetinやluteolinなどのフラボノイドに有効性を認めた。また、糖尿病および合併症に有効な素材を探索する目的で、小腸α-グルコシダーゼやアルドース還元酵素阻害物質の探索についてもあわせて検討したところオトメアゼナ (Bacopa monniera) 全草のエキスに含まれるdesrhamnosylisoacteosideおよびplantainoside Bなどのフェニルエタノイドに有意な抑制作用を認めた。なお、強い毒性を示すAGEsの単離・生成は継続して検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、実験手法の確立およびエキスライブラーについて、AGEsの生成抑制のみならず、AGEsのPC12細胞に及ぼす作用について検討し、数種の有望な素材とそれらに含まれる活性成分を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
より強い活性成分の探索を目指して新規素材について継続を行うと共に、作用機序の解明を目的にRAGEによって制御されるmRNAの発現量について検討を進める。
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