研究課題
世界各地で疾病の予防や初期症状の緩和などの生体調節機能を期待して利用されている補完代替医療素材について,その機能の科学的評価と機能を発現する分子(機能性成分)の特定,およびその機能性成分をシーズとした医薬候補物質の創製を志向した食品薬学的研究を行う.とりわけ,メタボリックシンドロームおよびその成因基盤として認知されている内臓脂肪蓄積型肥満などに対する予防効果を有する薬用食品素材について,その機能性成分を探索・特定・評価するとともに,セルフメディケーションやセルフプリベンションに利用し得る,安全で有効な機能性食品の開発を志向した実学研究を行う.また,その機能性成分を鋳型とした高活性アナログの網羅的合成による創薬科学研究を併せて実施することを目的とする.研究初年度である今年度は,おもに先行研究により有用な補完代替医療素材として見いだしているサラシアに含有される強力なα-グルコシダーゼ阻害活性を有するチオ糖スルホニウム化合物およびその類縁体の全合成やジアステレオ選択的合成などを達成した.また,同じくサラシアの含有成分であるキサントン配糖体成分の mangiferin に癌転移抑制作用およびそのアポトーシス誘導活性などを見いだした.また,その他の有望素材として,ニホンスイセン,,ハス花およびタイ天然薬物であるKaempferia parviflora や Alpinia galanga にメラニン産生抑制活性を,Carapa guianensis および Shorea roxburghii にD-galactosamine / lipopolysaccharide 誘発肝障害抑制作用を示す活性寄与成分などを見いだした.
2: おおむね順調に進展している
研究初年度である平成28年度はこれまでの先行研究により見いだされている有用素材のサラシアについて,α-グルコシダーゼ阻害活性を示すスルホニウム化合物の全合成およびその類縁体の網羅的合成を達成し,更なる構造活性相関に関する知見を得た.加えて,キサントン配糖体の mangiferin の新たな機能性として癌転移抑制作用をみいだすとともに,その他数種の有望素材のピックアップがなされた.以上のことから,本研究は当初の計画通り概ね順調に進展しているものと考える.
平成28年度にピックアップされた有望素材より得られた活性寄与成分について合成および構造活性相関研究を実施するとともに,引き続き,生活習慣病やアレルギー疾患などの難治性疾患の予防や改善に資する補完代替医療素材の探索研究を実施する.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (20件) (うち国際共著 9件、 査読あり 20件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 13件) 学会発表 (37件) (うち国際学会 9件)
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