研究課題/領域番号 |
16K08313
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
村岡 修 近畿大学, 薬学部, 教授 (20142599)
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研究分担者 |
森川 敏生 近畿大学, 薬学総合研究所, 教授 (10340449)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サラシア / チオ糖スルホニウム化合物 / α-グルコシダーゼ阻害活性 / 抗がん薬シーズ / pseudo-amorfrutin A / biakamide / ACA-28 |
研究実績の概要 |
世界各地で疾病の予防や初期症状の緩和などの生体調節機能を期待して利用されている補完代替医療素材について,その機能の科学的評価と機能を発現する分子(機能性成分)の特定,およびその機能性成分をシーズとした医薬候補物質の創製を志向した食品薬学的研究を行う.とりわけ,メタボリックシンドロームおよびその成因基盤として認知されている内臓脂肪蓄積型肥満などに対する予防効果を有する薬用食品素材について,その機能性成分を探索・特定・評価するとともに,セルフメディケーションやセルフプリベンションに利用し得る,安全で有効な機能性食品の開発を志向した実学研究を行う.また,その機能性成分を鋳型とした高活性アナログの網羅的合成による創薬科学研究を併せて実施することを目的とする. 事業二年目である今年度は,昨年度からの継続研究であるサラシアに含有される顕著なα-グルコシダーゼ阻害活性を有するチオ糖スルホニウム化合物である salacinol の高活性アナログの効率的合成およびその活性評価を実施し,市販α-グルコシダーゼ阻害薬のvogliboseの10倍以上の活性増強に成功した.また,生物種の異なる由来のα-グルコシダーゼ酵素とリガンドとの親和性の違いを,一連の salacinol 類縁体での活性結果を用い,計算化学的手法による活性予測などを検証した.加えて,新たな抗がん薬シーズの創成研究の一環として,Glycyrrhiza acanthocarpa より見いだされ,強力な抗腫瘍活性が認められている pseudo-amorfrutin A および海綿由来の biakamide 類の全合成を達成した.同様に強い抗腫瘍活性が報告されているショウガ科植物の大良姜の含有成分である 1'S-1'-acetoxychavicol acetate の高活性アナログ ACA-28 を創製し,その作用メカニズムとして ERK-MAPK シグナルが関与することなどを見いだした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度までに実施した抽出エキスライブラリーのスクリーニング試験により見いだした候補素材について,各種生物活性を指標に活性寄与成分の探索研究によりピックアップされている複数の医薬シーズについて,全合成および類縁体合成を達成するとともに,活性発現の必須構造や構造活性相関研究へと繋げ,医薬候補物質としての提案が実現した.以上のことから,本研究は当初の計画以上に進展しているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
これまでにピックアップされた有望素材より得られた活性寄与成分について,全合成および類縁体合成を継続しその構造活性相関研究を実施するとともに,引き続き,生活習慣病やアレルギー疾患などの難治性疾患の予防や改善に資する機能性低分子化合物の探索研究を実施する.
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