漢方薬原料生薬の供給を過度の中国依存から脱却することの必要性が指摘されて久しい。しかしながら、この数年の生薬供給の中国依存率は、80%前後で推移しており、顕著な変化は認められていない。このような状況の下で、わが国における生薬自給率の向上と高知県の中山間地域における農業振興という2つの社会的課題を見すえて、ホソバオケラの栽培生産法を確立することを目的として研究を実施した。結果として、高知県内の大部分を占める土壌条件下ではホソバオケラの実用栽培は極めて困難であるという結論に至った。基礎的検討と農家との共同による圃場栽培試験を並行して行うという研究のアプローチの有用性を実証できた。
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