研究課題
本研究では、リガンド依存的に遺伝子発現の制御を担うステロイドホルモン受容体を標的として、その機能を特異的に制御する化合物の創製を行う。今年度は、以下の研究成果を得た。(1)新規プロゲステロンアンタゴニストの創製:前年度に、7位にスルフォンアミド基をもつクマリン誘導体にプロゲステロンアンタゴニスト活性をみいだしており、本化合物をリード化合物として、種々の誘導体を合成した。7位スルフォンアミド基の硫黄原子に結合したベンゼン環上の置換基の精査、窒素原子上の置換基の精査に加えて、クマリン環を種々の含窒素複素環に変換した化合物を系統的に合成した。ヒト乳癌細胞T47Dを用いたアルカリフォスファターゼアッセイにより構造活性相関を明らかとした。また、新たにキノロン誘導体を設計し、6位にベンゼン環や複素芳香環をもつ化合物を種々合成した。その結果、非常に強いプロゲステロンアンタゴニスト活性を有する化合物を見いだすことができた。(2)新規アンドロゲンアンタゴニストの創製:以前、本研究者らが見いだした(ベンゾイルアミノフェノキシ)フェノール骨格を有するアンドロゲンアンタゴニストをリード化合物として更なる構造展開を行った。その結果、変異アンドロゲン受容体に対してもアンタゴニストとして機能する新規誘導体を見いだすことができた。(3)新規ビタミンD誘導体の創製:前年度に、リトコール酸をリード化合物として、その数千倍の活性を有する誘導体を見いだした。本化合物の体内動態を解析した結果、血中からの消失が非常に早いことがわかった。そこで、体内動態の改善を目的に、カルボキシル基をアミドに変えた化合物を数種合成した。これらのアミド誘導体は、カルボン酸誘導体と比べると若干活性は落ちるものの、活性型ビタミンD3と同程度の活性を有していた。現在、更なる構造展開と体内動態の解析を進めている。
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