研究課題
c-Metキナーゼは、癌発達・進展の全ステップに関与するマスター的なシグナル伝達分子である。私共は、c-Metのキナーゼ活性を抑制的に制御するタンパク質分子を見い出し、その相互作用解析から、c-MetキナーゼのAllosteric部位に結合する制御タンパク質ミメティック阻害ペプチド(Vpep)を分子設計した。このVpepの結合配座を基にVpepミメティック低分子化合物(Ai : Allosteric inhibitor)への変換設計を、私共が開発したCOSMOS法を用いて行った。その結果、2種のAiを見い出すことに成功した。その内の一つのAi1を用いて、既存c-Met Catalytic inhibitors(Ci)の阻害効果の変化を解析した。その結果、興味深いことに、Ai1はCiのc-Met阻害効果を増強した。顕著な阻害効果を示すAi1とCiとしてPHAを用い、Ai1/PHAの結合様式を高エネルギー加速研究機構の支援の下に、複合体のX線結晶回折からの解明を進めているが、リコンビナイトc-Metの作製、及びAi1とPHAとの共結晶の作製等が難航している。そこで、コンピュータシミュレーション技術を用いて、Ai1/PHA結合複合体予測モデル構造の構築を行った。つまり、X線結晶構造解析データからAi/Ci Dual inhibitorの分子設計を詳細に行いたい所であるが、現時点では、その複合体予測モデル構造の精度を上げることによって、Ai-Ciとの連結によるDual inhibitorsの分子設計を行う方針に変えている。現在、分子設計した化合物の化学合成を行っている。このin silico手法により、Ai-Ci連結による新規c-Met Dual inhibitorsの創製ができることを期待したい。
3: やや遅れている
c-Metキナーゼの抑制性制御タンパク質を見い出し、その結合部位解析から抑制性Vpepペプチドを分子設計し、そのミメティック低分子化合物への変換設計をCOSMOS法を用いて行ない、2つのAllosteric inhibitor(Ai)を得た。しかし、既知のc-Met Catalytic inhibitor(Ci)との共結晶のX線結晶構造解析を高エネルギー加速研究機構の協力によって進めているが、難航している。X線結晶解析に必須なリコンビナイトタンパク質の作製、及びX線結晶解析の依頼がスムーズにいかないことは、非常に残念である。これでは海外との競争に遅れをとってしまう。これが(3)やや遅れていると判断した理由である。
c-Met-Ai/Ci複合体結晶構造解析が難航していることから、コンピュータシミュレーション技術を駆使して、Ai/Ci複合体予測モデル構造を構築することを行っている。この様なin silico手法を用いた方策により、Ai1/Ciの結合様式のモデル構造を予測することから、Ai/CiのTetheringによる、新たなDual inhibitorsを分子設計を実施する。このような方向から、新規c-MetDual inhibitorsを創製することを目指す。現在、新規Dual inhibitorsの分子設計は終了し、化学合成及び生理活性評価を進めている。
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