研究課題/領域番号 |
16K08327
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
田沼 靖一 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 教授 (10142449)
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研究分担者 |
高澤 涼子 東京理科大学, 薬学部薬学科, 講師 (10398828)
佐藤 聡 東京理科大学, 薬学部薬学科, 講師 (40530663)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 癌 / Met / チロシンキナーゼ / キナーゼ阻害剤 / in silico分子設計 / ペプチド / アポトーシス |
研究実績の概要 |
癌遺伝子c-Metの産物であるc-Metキナーゼは、癌発達・進展の全ステップに関与するマスター的分子である。私共は、c-Metのキナーゼ活性を抑制的に制御するタンパク質分子を見い出し、その相互作用解析から、この制御タンパク質はc-MetキナーゼのAllosteric部位に結合することを明らかにした。さらに、この制御タンパク質ミメティック阻害ペプチド(Vpep)を分子設計した。このVpepの結合配座をコンピュータシミュレーション手法により解析し、その予測複合体モデルを基にVpepミメティック低分子化合物(Ai : Allosteric inhibitor)への変換設計を、私共が開発したCOSMOS法を用いて行い、2種のAiを見い出した。その内の一つのAi1を用いて、既存c-Met Catalytic inhibitors(Ci)の阻害効果への影響を解析した。その結果、興味深いことに、Ai1はほぼ全てのCiのc-Met阻害効果を増強した。 AiのCi増強効果を理解するために、顕著な阻害効果を示すAi1とCiとしてPHAを用いて、Ai1/PHAの結合様式を高エネルギー加速研究機構の支援の下に、複合体のX線結晶構造解析により明らかにすることを進めた。しかし、リコンビナイトc-Metの多量作製、及びAi1とPHAとの共結晶化が難航している。そこで、コンピュータシミュレーション手法を用いて、Ai1/PHAのC-Met複合体予測モデル構造の構築を行った。ここでは、その複合体予測モデル構造解析からAi/Ci Dual inhibitorの分子設計を詳細に行い、その複合体予測モデル構造の精度を上げることによって、Ai-Ciとの連結によるDual inhibitorsの最適化分子設計を行った。現在、その化学合成を行い、阻害活性を評価している。このin silico設計手法により、Ai-Ci連結による新規c-Met Dual inhibitorsの創製ができることが期待される。
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