研究課題/領域番号 |
16K08331
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研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
和田 俊一 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授(移行) (30278593)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 核酸医薬 / 膜透過性ヘペプチド / 両親媒性ヘリックスペプチド / Aib / RGD配列 |
研究実績の概要 |
1.本年度は,遅延型ペプチドによるRNA干渉の遅延メカニズムを有機化学的な手法で明らかにすること及びその結果より導き出される,時空間制御可能なsiRNAのデリバリーツールの創出を目的とし研究を行った.上記の目的を達成するため,遅延型ペプチドにおけるヘリックスペプチドとRGDとの結合を,従来のシステイン残基から側鎖炭素が1個多いホモシステインに変換し,ホモシステインを組み込んだヘリックスペプチドとRGD とをS-S結合を介して結合させ,その結果,ヘリックスペプチドとRGDの間の立体障害を緩和させたペプチドを新たに3種類合成した.従来のペプチドを加え合計4種類のペプチドを用いて,ヘリックスペプチドとRGDの間のアルキル鎖の長さと,S-S結合の還元性(ヘリックスペプチドとRGDとの解離)及びRNA干渉効果の相関性を検討する計画であったが,ペプチド合成に手間取り計画通り研究を進めることができなかった.故に本実験に関しては,次年度に実施する予定である. 2.平成30年度の実施予定であった,速効型ペプチドのRNA干渉効果に対する構造活性相関研究を前倒しして実施した.速効型ペプチドはヘリックスペプチドのC-末端にRGDペプチドを有しているが,N-末端にRGDを有したペプチドも同様にRNAの細胞内デリバリー効果及びRNA干渉効果を引き起こすことがわかった.またヘリックスペプチドのN-及びC-両末端に合計2個のRGDを有するペプチドに関してもやや活性が落ちるが同様の効果を有していることを明らかにした.また速効型ペプチド中の20残基を有するヘリックスペプチド中のアミノ酸残基を減少させていくと,RNAのデリバリーツールとしての能力は減少した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ペプチド合成に手間取り,本年度予定していた遅延型ペプチドの還元性評価,細胞を用いたsiRNAの細胞内デリバリー効果やRNA干渉効果を検討することができなかった.故に進捗状況としてはやや遅れているが,平成30年度実施予定の研究を一部前倒しして行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,前年度行うことができなかった,遅延型ペプチドによるRNA干渉の遅延メカニズムを有機化学的な手法で明らかにすること及びその結果より導き出される,時空間制御可能なsiRNAのデリバリーツールの創出を目的とし,前年度に合成した4種のヘリックスペプチドとRGDをつなぐS-S結合の還元性(ヘリックスペプチドとRGDとの解離)及びRNA干渉効果の相関性を検討する.その結果を踏まえて,RNA干渉効果の発現時期を制御できるsiRNAのデリバリーツールの創出および最適化を行う.また,これらペプチド分子の単純化及び最適化を行う.以上,平成28~30年度の3年間の結果をまとめ,設計したAib含有ヘリックスペプチドのsiRNAデリバリーツールとしての総括と評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に予定していた,遅延型ペプチドによる細胞評価ができなかったため,それらに使用する試薬類を購入しなかったことにより次年度使用額が生じた. 本年度は,前年度と同様にペプチド合成及び細胞を用いたRNA干渉効果等を検討するので,化学合成用試薬,細胞培養用試薬・プラスチック器具,ルシフェラーゼアッセイキット等の購入に充てる.
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