研究課題/領域番号 |
16K08332
|
研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
北條 恵子 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (20289028)
|
研究分担者 |
津田 裕子 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (10098478)
日高 興士 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30445960)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | GPCR / アゴニスト / リラキシンスーパーファミリー / ステープルヘリックス / 二次構造 / CD / ペプチド合成 / 肥満 |
研究実績の概要 |
リラキシン-3は、インスリンと同様ペプチド2本鎖(A鎖B鎖)からなり、インスリンと相同性の高い立体構造をもつ分子量約5000の中分子である。インスリンスーパーファミリーのペプチドは、二本鎖の複雑な構造のため合成が非常に困難であり、市場で使われるこのファミリー由来の医薬品は生物合成によって供されている。その合成の困難さのため構造改変は難しい。これまでのリラキシン-3とRXFP3との構造活性相関研究と受容体のモデリングから、RXFP3活性化に必須なリラキシン-3のアミノ酸残基は、B鎖に集中しているRXFP3活性発現に必須なリラキシン3の残基は確定している。これらを分子内架橋によって、如何に活性発現に最適な三次元的配置にするかが重要である。まずはArg16、Phe20周囲のRCMによるα-ヘリックス構造再現を焦点に検討を行い、CDなど構造解析により最適架橋位置を検討した。結合に必須なB鎖Arg12、Arg16、Phe20の残基を残しいずれかのi とi + 4 の位置 にアルキルオレフィン基を配し、RCM反応によって架橋したリラキシン-3B鎖full lengthのステープルペプチドを種々合成した。RXFP3に対する親和性及び活性測定は、メルボルン大学の共同研究者らに依頼した。期待通りリラキシン-3B鎖のみからなる RXFP3に親和性を示すアゴニストを得ることに成功した。このアナログの構造を NMRと CD で解析したところ、ほぼ完全に Nativeのリラキシン3の構造と一致し、天然構造を架橋によって再現できたことを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リラキシン-3B鎖のみからなる RXFP3に親和性を示すアゴニストを得ることに成功した。最適の架橋位置を決定し、リラキシン3B鎖の天然構造再現に成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
RXFP3の結合及び活性化に必須な残基はB鎖10位以降C末端側に局在している。そこで、N末端を切断したshort lengthステープルヘリックスを合成し、RXFP3に対し親和性の高い低分子アナログを探索する。Short lengthにすることでヘリックス性は高まると予想される。ペプチド鎖が短いほど、ステープルによる構造への寄与は大きくなるからである。N末端より、順次、切断したshort lengthステープルヘリックスを合成し、より親和性、ヘリックス性の高いアナログを探索する。架橋位置は前年度の合成したステープルペプチドのうち、最もRXFP3に親和性示したアナログ、CD測定より最もヘリックス性の高いアナログに模し位置を決定する。親和性の優れるアナログは、受容体とのドッキング解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度、より短鎖のアナログ開発に挑むが、より強い活性のアナログ開発を目指しペプチドライブラリーを構築する予定である。そのため、ライブラリー構築に一定の時間が要すると考えられるため。
|
次年度使用額の使用計画 |
ドッキング解析から、受容体との相互作用をより増強するようなアミノ酸残基、置換基を選択し、導入する。固相合成で行うので位置特異的な置換基の挿入は比較的容易であることから、前年度までにデザインしたステープルヘリックス構造を維持したペプチドライブラリーを構築し、よりよいステープルヘリックスアナログを探索する。親和性の優れるアナログについては、脳内イメージングを行う。また、脳内デリバリーを企図した官能基の挿入、細胞膜透過ペプチドとのハイブリッド体の創製にも取り組み、機能性のある肥満症治療薬のリード開発につなげたい。
|