研究実績の概要 |
病気診断、創薬などのPETイメージング研究と応用を推進するために、多彩なPETトレーサーの開発は益々重要になっている。今まで、11C-標識した PETトレーサーは脂肪鎖や芳香族環上に[11C]メチル基、[11C]カルボニル基を導入する方法に大きく依存している。PETトレーサーの多様性を向上させるため、新規なcyano-11C-標識法と環状化合物の環内炭素の11C-標識法が強く望まれる。我々は芳香族ホウ素化合物とスズ化合物を前駆体とするパラジウム錯体を介した11C-シアノ化反応を開発し、該独自のcyano-11C-標識法を活かし、新たな環状内炭素の11C-導入手法を開拓する。
1.昨年度に引き続き、芳香族ホウ素化合物を前駆体とするテトラゾール環とトリアジン環の環状内に11Cを導入する標識法の高度化と応用を展開している。機能性トレーサー[11C] CC-33(celecoxib analog)と[11C] 6QDAT(angiogenesis inhibitor)の合成精製を最適化し、始発放射性原料[11C]CH4に基づく単離減衰補正RCYは、それぞれ56%と52%になった。 2.テトラゾール環とトリアジン環の環状内に11Cを導入する標識法の適用範囲を更に拡大するために、芳香族スズ化合物を前駆体とするパラジウム錯体を介した11C-シアノ化反応も開発した。該標識法cyano-11C-標識法を使って、モデル例とする前駆体化合物2-(tributylstannyl)pyrimidineから [11C]2-(1H-tetrazol-5-yl)-pyrimidine と [11C] 6-(pyrimidin-2-yl)-1,3,5-triazine-2,4-diamineの標識合成も成功した。今後は、追加実験を実施し学術論文を作成する。
|